秋が危険! スズメバチで例年20人死亡事故 身を守るための5つの対処法

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ハチには人を襲う性質がある。命に関わる事もあり注意が必要だ。(写真=飯森政宏)

 先日、山に校外学習へ行った児童と教員ら約20人がスズメバチに襲われる事故が発生した。ドングリを拾おうと森に入ったと同時にハチに襲われたとあるが、おそらく地面に巣を作るハチを刺激してしまったのだろう。命に別状はなかったことは幸いだったが、アレルギー反応の一種、アナフィラキシーショックで命を落とす報告が毎年後を絶たないだけに、油断はできない。

都会でもハチの事故は起こりうる

 世界最大のハチであり非常に攻撃性の高いオオスズメバチ、またクロスズメバチの仲間は地中に巣を作る。そのため、気がつかず誤って巣に近づいてしまい刺されたという事故は、野山では珍しいことではない。また近年、キイロスズメバチは野山だけではなく街中にも進出しており、ちょっとした散歩、サイクリングの際に刺される事故が増えている。

 特にアウトドアを楽しむ人が増加する9月から10月は、スズメバチの巣が最も大きくなり、新しい女王バチが冬ごもりに向け神経質になるシーズンでもある。

 安全にアウトドアを楽しむためにも、ハチに刺されないためにはどうすれば良いか。山や畑、公園などの生息域に入る際の予防策を、ハチの事故対策を進めてきた医師の小川原辰雄さんの著書『人を襲うハチ 4472件の事例からの報告』(山と溪谷社刊)から紹介する。

ハチに刺されないための5か条

(1)午前中の作業を避ける
 スズメバチ類の活動はほぼ午前中に集中しているので、なるべくこの時間帯は避ける。

(2)ハチを興奮させない
 巣の近くで大声を出す、近づいてきたハチを手で追い払うなどの行動はハチを興奮させる。巣を見つけた場合は絶対に近づかず、ゆっくりと来た道を戻る。

(3)ハチに刺されにくい服装で歩く
 長袖長ズボンの着用、帽子をかぶるなど、とにかく肌を露出しない。また黒色の服を避け、攻撃対象となりにくい白色の服を着る。素材は木綿製ではなく、ハチが止まりにくいナイロン製のスベスベしたものが良い。

(4)ヘアスプレー、香水をつけない
 こういった化粧品などの匂いにハチは大変敏感である。女性が刺されやすいのはこのためであると言われている。

(5)清涼飲料水を飲まない
 砂糖を含んだ飲料水にはハチは好んで寄ってくる。持っていく飲み物は水やお茶が良いだろう。

 もはや「ハチは野や山の昆虫である」とは言えなくなってきている。特に、一度でもハチに刺されたことがある人は、アナフィラキシーショックの危険性が高い。内科医に相談して「エピペン」など緊急対策用の自己注射薬を持ち歩くなどの検討も必要だろう。

 これからの季節、ハチを刺激しないように万全の策でアウトドアを楽しみたい。

文=山と溪谷社 写真=飯森政宏

山と溪谷社
2019年10月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

山と溪谷社

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1930年創業。月刊誌『山と溪谷』を中心に、国内外で山岳・自然科学・アウトドア等の分野で出版活動を展開。さらに、自然、環境、ライフスタイル、健康の分野で多くの出版物を展開しています。