10日20時に2019年ノーベル文学賞の受賞者が、スウェーデン・アカデミー関係者のスキャンダルを受けて見送りになった昨年分と合わせて発表された。
2019年はオーストリア出身の作家ペーター・ハントケ氏(76)、昨年分はポーランド出身の作家オルガ・トカルチュク氏(57)が選ばれた。
ペーター・ハントケ氏は、1942年オーストリア、ケルンテン州グリフェン生まれ。1966年に小説『雀蜂』でデビュー。同年、プリンストンで開かれた「47年グループ」での批判的な発言で注目され、その後ドイツ、フランクフルトで上演した戯曲『観客罵倒』で一躍脚光を浴びる。小説、戯曲、詩から放送劇、フランス文学の翻訳まで幅広い創作活動を続け、ゲオルク・ビューヒナー賞、カフカ賞など文学賞のほか、演劇を対象にした国際イプセン賞を受賞している。
オルガ・トカルチュク氏は、1962年ポーランド西部、ルブシュ県スレフフに生まれ。ワルシャワ大学で心理学を専攻し、卒業後はセラピストになる。1993年に長編小説『書物人たちの旅』を刊行し作家デビュー。同年、ポーランド出版協会新人賞を受賞する。ポーランドで最も権威ある文学賞「ニケ賞」に2度ノミネートされ、注目を集めた。2008年に『逃亡派』で「ニケ賞」を受賞している。
今年はイギリスのブックメーカーで有力候補として、村上春樹氏(70)の他に、ドイツ在住の多和田葉子氏(59)の名前も挙がっていた。多和田氏は小説『献灯使(The Emissary)』が米国で最も権威のある文学賞の一つ「全米図書賞」(翻訳文学部門)を受賞するなど、国際的な評価も高まっており、日本人女性で初のノーベル賞受賞が期待されていた。
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