第47回泉鏡花文学賞が発表 田中慎弥さんの『ひよこ太陽』が受賞

文学賞・賞

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 第47回泉鏡花文学賞が発表され、田中慎弥さんの『ひよこ太陽』(新潮社)に決まった。

 受賞作『ひよこ太陽』は、40代の男性作家が、書けない日々を送り、次第に死への誘惑に取りつかれていく日常を描いた私小説的な作品。

 著者の田中慎弥さんは、1972年山口県生まれ。山口県立下関中央工業高校卒業。2005年に「冷たい水の羊」で新潮新人賞を受賞し、作家デビュー。2008年に「蛹」で川端康成文学賞を受賞、同年「蛹」を収録した作品集『切れた鎖』で三島由紀夫賞、2012年に「共喰い」で芥川賞を受賞する。その他の著書に『神様のいない日本シリーズ』『犬と鴉』『実験』『夜蜘蛛』『燃える家』『宰相A』『美しい国への旅』『孤独論 逃げよ、生きよ』などがある。

 授賞式は11月9日に金沢市民芸術村で行われる。

「泉鏡花文学賞」は、泉鏡花生誕100年を記念して1973年に制定された、金沢市によって主催される文学賞。前1年間に刊行された文芸作品を対象に、泉鏡花の文学世界に通ずるロマンの薫り高い作品に与えられる。第47回の選考委員は、五木寛之、村松友視、金井美恵子、嵐山光三郎、山田詠美、綿矢りさの6氏が審査を務めた。

 昨年は、山尾悠子さんの『飛ぶ孔雀』(文藝春秋)が受賞。過去には半村良さんの『産霊山秘録』(第1回)、筒井康隆さんの『虚人たち』(第9回)、多和田葉子さんの『ヒナギクのお茶の場合』(第28回)、桐野夏生さんの『グロテスク』(第31回)などが受賞している。

Book Bang編集部
2019年10月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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