本書を読んだ後でも、あなたは自分に読解力があると自信を持って言えますか?

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あなたは読解力に自信がありますか?

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

「中学を卒業する段階で、約3割が表層的な読解もできない」という衝撃的な事実を明らかにした『AIvs.教科書が読めない子どもたち』はビジネス書大賞を受賞し、30万部を突破するベストセラーとなった。その続編が発売され、好調な売れ行きを見せている。

 本書ではAIが苦手とする読解力を身につけ、向上させるにはどうしたらいいのかを提言している。さらにリーディングスキルテスト(RST)の体験版が収録されており、実際に自分が文章を読めているのか? を確かめることができる。これをやるためだけにこの本を買っても損はないだろう。

 RSTでは「事実について書かれた短文を正確に読むスキル」を6分野7項目に分類して測る。(1)係り受け解析:文の基本構造(主語・述語・目的語など)を把握する力(2)照応解決:指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語を把握する力(3)同義文判定:2文の意味が同一であるかどうかを正しく判定する力(4)推論:小学6年生までに学校で習う基本的知識と日常生活から得られる常識を動員して文の意味を理解する力(5)イメージ同定:文章を図やグラフと比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力(6)具体例同定:言葉の定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力。なお、具体例同定は辞書由来の問題→(6)と理数系教科書由来の問題→(7)に分かれている。体験版では各項目に易・普・難・超難の4問があり、七つの項目ごとに正答できた問題の点数を足して10点満点で採点する。

 さっそく私もやってみたところ、(1)(2)(3)(5)は満点であったが、(4)が5点、(6)が6点、(7)にいたっては3点と散々な結果だった。タイプ別分析によると、(1)~(3)の得点が高いのに(6)(7)が低いのは理数系が苦手な人にありがちなタイプだという。万遍なく6点取れていれば問題はない。(1)(2)が3点以下の場合は普段からきちんと読めていない可能性が高い。

 多くの人は自分は文章を読めると思っている。しかし実際は読めていない人が多いのだ。本書を読んだ後でも、あなたは自分に読解力があると自信をもって言えますか?

新潮社 週刊新潮
2019年10月17日菊月増大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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