10月16日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、新書第1位は『ケーキの切れない非行少年たち』が獲得した。
第2位は『一切なりゆき 樹木希林のことば』。第3位は『上級国民/下級国民』となった。
1位の『ケーキの切れない非行少年たち』は発行部数25万部を突破。医療少年院で勤務経験のある精神科医の著者によると、犯罪を何度も犯してしまう少年たちは実は認知機能に問題があることが多く、物事を正しく理解することができないという。彼らの多くは知的障害とは判定されないが、IQ70~85に相当する「境界知能」と呼ばれる弱者であり、社会で何度も挫折を経験している。その生きづらさが犯罪となってあらわれ、社会に大きな被害をもたらしている。帯には彼らが切ったケーキの図が掲載され、いかに彼らの認知機能が歪んでいるかを物語る。
著者はこのような状態で彼らに反省を促しても効果がないと主張する。彼らの認知機能を向上させ、対人スキルをあげ、適切な身体の使い方をトレーニングすることで犯罪は減少し、、ひいては社会のためになるという。その具体策として非行少年たちを劇的に変えた認知機能トレーニング「コグトレ」も紹介されている。
ノンフィクション作家の保阪正康さんは著者の主張に《なるほどと合点がいった。》と納得。《本書が関心を持たれるのは、処方箋が具体的なのと、著者の信念が確固としているからだ。》と勧めている。
https://book.asahi.com/article/12728528
■新書 ノンフィクションランキング
-
- ケーキの切れない非行少年たち
- 価格:792円(税込)
1位『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治[著](新潮社)
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。(新潮社ウェブサイトより)
2位『一切なりゆき 樹木希林のことば』樹木希林[著](文藝春秋)
芝居の達人、人生の達人 今年、惜しくも世を去った名女優が語り尽くした生と死、演技、男と女。それはユーモアと洞察に満ちた樹木流生き方のエッセンスです。(文藝春秋ウェブサイトより)
3位『上級国民/下級国民』橘玲[著](小学館)
バブル崩壊後の平成の労働市場が生み落とした多くの「下級国民」たち。彼らを待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占するのは少数の「上級国民」たちだ。(中略)ベストセラー『言ってはいけない』シリーズも話題の人気作家・橘玲氏が、世界レベルで現実に進行する分断の正体をあぶり出す。(小学館ウェブサイトより抜粋)
4位『この世を生き切る醍醐味』樹木希林[著](朝日新聞出版)
5位『実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた』橋下徹[著](PHP研究所)
6位『自分のことは話すな 仕事と人間関係を劇的によくする技術』吉原珠央[著](幻冬舎)
7位『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』伊藤賀一[著](幻冬舎)
8位『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』塙宣之[著](集英社)
9位『ラグビー知的観戦のすすめ』廣瀬俊朗[著](KADOKAWA)
10位『日本近現代史講義 成功と失敗の歴史に学ぶ』山内昌之、細谷雄一[編著](中央公論新社)
■新書 ノベルスランキング
1位『鬼滅の刃 片羽の蝶』吾峠呼世晴[原作]矢島綾[著](集英社)
2位『鬼滅の刃 しあわせの花』吾峠呼世晴[原作]矢島綾[著](集英社)
3位『創竜伝(14) 月への門』田中芳樹[著](講談社)
4位『NARUTO-ナルト- ナルト烈伝 うずまきナルトと螺旋の天命』岸本斉史[原作]江坂 純[著](集英社)
5位『ブラッククローバー ユノの書』田畠裕基[原作]ジョニー音田[著](集英社)
6位『劇場版 ONE PIECE STAMPEDE』尾田栄一郎[原作]浜崎達也[著]冨岡淳広、大塚隆史[劇場版脚本](集英社)
7位『カナダ金貨の謎』有栖川有栖[著](講談社)
8位『十津川警部 阪急電鉄殺人事件』西村京太郎[著](祥伝社)
9位『Dr. STONE 星の夢、地の歌』稲垣理一郎[原作]Boichi[作画]森本市夫[著](集英社)
10位『ONE PIECE novel A(2) 新世界篇』尾田栄一郎[原作]浜崎達也[著](集英社)
〈新書 ノンフィクション / 新書 ノベルス ランキング 10月16日トーハン調べ〉
関連ニュース
-
原田マハ 3年ぶりの長編アート小説がベストセラー1位 棟方志功を描いた『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』[文芸書ベストセラー]
[ニュース](日本の小説・詩集)
2024/03/16 -
2019年『本屋大賞』ノミネート10作が決定 三浦しをん、伊坂幸太郎、森見登美彦など
[文学賞・賞](日本の小説・詩集/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド/SF・ホラー・ファンタジー)
2019/01/22 -
「十二国記」山田章博 原画展、開催決定!! 30周年を記念した原画展とポップアップストアが開催されます。
[イベント/関東/近畿/中国]
2022/08/03 -
「おかしなことがおかしいと言えない時代」に「どう考えてもおかしいやろ!」百田尚樹がツッコむ がん手術前に「もしかして私の絶筆となるかも」とポスト[新書ベストセラー]
[ニュース](外交・国際関係/社会学/スピーチ・話し方)
2024/01/13 -
羽田圭介はTVに出まくり、驕り高ぶり、ファンに手を出しているのか……???
[ニュース/テレビ・ラジオで取り上げられた本](日本の小説・詩集/社会学)
2017/04/18