第10回山田風太郎賞が決定 月村了衛『欺す衆生』が受賞

文学賞・賞

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 第10回山田風太郎賞が18日に発表され、月村了衛さんの『欺す衆生』(新潮社)に決まった。

 受賞作『欺す衆生』は、豊田商事事件を彷彿とさせる詐欺事件に関与した男を主人公に人間の業と欲を描いた長編小説。経歴を隠して文具メーカーで働いていた主人公は、かつての同僚に恫喝され、詐欺に手を染めていくことに。欺す者と欺される者、謀略と暴力の坩堝の果てに待ち受ける運命とは?

 書評家の豊崎由美さんは、「月村了衛の『欺す衆生』は、昭和末期から平成の終わりへと至る一人の男の半生を追うことで、『なぜ、人は欺すのか』という問いに答えようとしている」と本作を紹介。「なぜ、人は欺すのか。作者はそれに、はっきりとした答を用意している。読めば、わかる。その上で、人を欺し、自分を欺し続けた人間の前に広がる殺伐とした荒野を見せる。その荒野を進まなくてはならない者のすさんでいく精神の行く末を見せる。この物語を読んで震撼しない者はいない」(波・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/583210

 著者の月村さんは、1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。2012年に『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞を受賞。近作に『東京輪舞』、『悪の五輪』などがある。

 賞金は100万円。贈賞式は、11月29日、東京都千代田区の東京会館で行われる。

「山田風太郎賞」は、戦後日本を代表する大衆小説作家・山田風太郎の独創的な作品群と、その作家的姿勢への敬意を礎に、有望な作家の作品を発掘顕彰するために創設された文学賞。ミステリー、時代、SFなどジャンルを問わず、対象期間に発表され、最も面白いと評価された作品に与えられる。第10回の選考委員は、奥泉光さん、京極夏彦さん、筒井康隆さん、林真理子さん、夢枕獏さんの5氏が審査を務めた。

 第10回の候補作品は以下のとおり。

『童の神』今村翔吾[著]角川春樹事務所
『営繕かるかや怪異譚 その弐』小野不由美[著]KADOKAWA
『熱源』川越宗一[著]文藝春秋
『欺す衆生』月村了衛[著]新潮社
『Blue』葉真中顕[著]光文社

Book Bang編集部
2019年10月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加