【産経の本】『旧制高校物語 真のエリートのつくり方』喜多由浩著

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 ■旧制高校に確かな範がある

 今年8月、平成の時代に一度は幕を下ろした「日本寮歌祭」が9年ぶりに復活した。「寮歌」は旧制高校の教育や精神を歌ったもので、若い世代などの注目度も高まり、寮歌(祭)の日本遺産認定をめざす動きも出てきているという。

 これらの動きは単なるノスタルジアではなく、背景には現代の教育制度に対する危機感があるのではないかと著者は言う。

 次代を担う若者たちは萎縮して覇気を失い、チャレンジや冒険を恐れるようになり、学問への畏敬の念も消え去っている。
 単行本を新たに文庫化した本書では、中曽根康弘元首相、ノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊博士、作家の三浦朱門氏など多くの卒業生たちが旧制高校の神髄を語る。

 私利私欲なく公に奉仕する心、知性と野性・鍛えられた高い志、寮で培った教養と自治の精神…。この物語には、現代の日本人が忘れてしまった大事なものがある。

 真のエリートとは何なのか、日本と日本人がいま一度、輝きを取り戻すには何が必要なのか。旧制高校の教育や精神をたどることで、現代の日本が直面する課題を解くためのヒントが見つかるのではないか。(産経NF文庫・820円+税)

産経新聞
2019年10月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。