駿河国で長く村役(名主役)を務めた鈴木仁兵衛は「村役相勤めまじき(村役なんか絶対つとめるな)」とし、その理由を書き連ねた。武蔵国の豪商・戸谷半兵衛は、裕福になるための心構えを説き、おごりや欲が出ないよう「心に錠をかけるべし」。下野国の農政家、田村吉茂は、極楽に行くための読書のすすめも。
江戸時代の商人、農民ら市井に生きた12人の遺書に注目。自らの人生を振り返り、子孫に何を伝えようとしたのか。現代にも通じる“生きるヒント”を探る。最期を前にしてのリアルな姿に励まされる。(夏目琢史著、光文社新書・860円+税)
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2019年10月27日 掲載
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