元予備校講師でベストセラー参考書も手がけた著者が、成熟した大人を相手に古典を読む。取り上げるのは躍動する精神をたたえた「自由人」である。
《「自由人」たちには必ずや「信じる心」がうちに秘められているように思われます。何かを信じる心こそが彼らの自由な行為を成り立たせているように思える》と著者。共感をこめて紹介するのは、兼好法師、西行、良寛、信仰に生き地蔵菩薩と出会って往生を遂げた老尼、壇ノ浦で亡くなった恋人を思い続けた右京大夫など。
打算や計算で生きる現代人に、生きる意味を問いかけてくる作品だ。(平凡社新書・880円+税)
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2019年11月3日 掲載
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