2019年ノンフィクション本大賞が決定 日々の子育てを描いた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が異例の受賞
文学賞・賞
ブレイディみかこさん
「Yahoo!ニュース | 本屋大賞2019ノンフィクション本大賞」の大賞作品が6日、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)に決まった。
イギリスで暮らすブレイディみかこさんが、「元・底辺中学校」に通い始めた一人息子との日常を綴ったノンフィクション。日常の子育てをテーマにした作品が「ノンフィクション」を冠する賞を受賞するのは極めて異例だ。
新潮社の担当編集者によると、本作の読者は7割が女性。男性読者が半数以上を占めるのが一般的なノンフィクション作品の中にあって異彩を放っているという。
「本作はひとりの少年が成長していく様子を描いた作品ですが、彼が日常で直面するのは、格差や貧困、差別やセクシュアリティ、アイデンティティなど、大人たちがいま、解決や対応を迫られている問題ばかりです。そうした問題に直面した子どもたちの対応が鮮やかで、読者からは『子どもたちに教えられた』『帰宅したら子どもたちと話そう』『あの頃の自分にこの本を教えてあげたい」といった感想が多く寄せられています」(担当編集者)
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、新潮社の読書情報誌「波」の連載を書籍化したもので、現在も好評連載中。今月3日に毎日出版文化賞の特別賞を受賞している。
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- ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
- 価格:1,595円(税込)
著者のブレイディみかこさんは、1965年福岡市生まれ。県立修猷館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年に新潮ドキュメント賞を受賞し、大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補となった『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』をはじめ、著書多数。
「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」は、全国の書店員がお客様に勧めたい本を投票して大賞を決定する「本屋大賞」と、ヤフー株式会社が運営する日本最大級のインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」がタッグを組み、2018年に創設された。前年の7月1日から当年の6月30日の間に、日本語で出版されているノンフィクション作品を対象とし、書店員による一次投票、二次投票を経て、大賞作品を決定する。なお、大賞作品の作者には、副賞として100万円の取材支援費が提供される。
今年の「Yahoo!ニュース | 本屋大賞2019ノンフィクション本大賞」のノミネート作品は以下のとおり。
『安楽死を遂げた日本人』宮下洋一[著]小学館
『吃音 伝えられないもどかしさ』近藤雄生[著]新潮社
『牙 アフリカゾウの『密猟組織』を追って』三浦英之[著]小学館
『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤旬子[著]文藝春秋
『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』中村淳彦[著]東洋経済新報社
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ[著]新潮社
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