芥川賞・直木賞の候補作が発表 哲学者の千葉雅也さん、初の小説で芥川賞候補に

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 本日16日(月)に、第162回芥川龍之介賞と直木三十五賞の候補作が発表された。

 芥川賞の候補作に選ばれたのは、木村友祐さんの「幼な子の聖戦」、高尾長良さんの「音に聞く」、千葉雅也さんの「デッドライン」、乗代雄介さんの「最高の任務」、古川真人さんの「背高泡立草」の5作品。

 5人中3人が初候補で、木村さん、乗代さんのほか、哲学者の千葉さんは初めて発表した小説で候補に入った。古川さんは前回に続き4回目、高尾さんは3回目の候補となった。

 一方、直木賞は、小川哲さんの『嘘と正典』、川越宗一さんの『熱源』、呉勝浩さんの『スワン』、誉田哲也さんの『背中の蜘蛛』、湊かなえさんの『落日』の5つの作品が選ばれた。

 前回とは対象的に女性で唯一の候補となった湊かなえさん以外が全て初候補。湊さんは、デビュー作『告白』がベストセラーとなり、イヤミスというジャンルを世に広めた人気作家で、今回が4回目の候補となった。

■第162回芥川龍之介賞(文芸誌)
「幼な子の聖戦」木村友祐[著](すばる11月号)
「音に聞く」高尾長良[著](文学界9月号)
「デッドライン」千葉雅也[著](新潮9月号)
「最高の任務」乗代雄介[著](群像12月号)
「背高泡立草」古川真人[著](すばる10月号)

■第162回直木三十五賞(出版社)
『嘘と正典』小川哲[著](早川書房)
『熱源』川越宗一[著](文藝春秋)
『スワン』呉勝浩[著](KADOKAWA)
『背中の蜘蛛』誉田哲也[著](双葉社)
『落日』湊かなえ[著](角川春樹事務所)

 選考会は来年1月15日に東京・築地の料亭「新喜楽」で行われ、同日中に受賞作の発表、受賞者の記者会見が予定されている。芥川賞の選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、宮本輝さん、山田詠美さん、吉田修一さんの9名、直木賞の選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、宮城谷昌光さん、宮部みゆきさんの9名が務める。

 芥川賞・直木賞はどちらも昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品が対象。主に新進作家に与えられる。直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短編および長編の大衆文学作品を対象に優秀作を選定。主に新進・中堅作家が対象。

 前回の芥川賞は、今村夏子さん小説『むらさきのスカートの女』(朝日新聞出版)が受賞。直木賞は、人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた大島真寿さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(文藝春秋)が受賞している。

Book Bang編集部
2019年12月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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