第46回大佛次郎賞が決定 黒川創『鶴見俊輔伝』が受賞

文学賞・賞

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 第46回大佛次郎賞が19日に発表され、黒川創さんの『鶴見俊輔伝』(新潮社)に決まった。

 受賞作『鶴見俊輔伝』は、戦後日本を代表する思想家・鶴見俊輔さんの93年間の歩みと思想について、幼少期から半世紀にわたって行動をともにした黒川創さんがまとめた評伝。

 農業史研究者の藤原辰史さんは、「私は伝記に影響を受けやすい性格だが、本書は特別だった。この反骨の哲学者の目や口の動きまでもわかる描写力に心を奪われた」と本作を絶賛し、「勉強量、組織力、行動力、言語運用能力。どれもがクレイジーと呼ぶべき水準に達していたが、最も驚いたのは思考と行動の瞬発力と持久力。雑誌『思想の科学』の編集会議でのふるまい、ベ平連を組織し米軍脱走兵を匿うときの頭の動き、スパイ発見時の対応、ちょっとした質問への答え……どんなときも、一般に期待される有り体な常識論をことごとく裏切ってきた。言葉と運動の海原を、変化自在に操舵した思考者の一代記。再読必至の濃密度だ」(読売新聞・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/563937

 著者の黒川創さんは、1961年京都市生まれ。同志社大学文学部卒業後、「思想の科学」編集委員を経て、1999年に初の小説『若冲の目』刊行する。2008年に『かもめの日』で読売文学賞、2013年に『国境〔完全版〕』で伊藤整文学賞(評論部門)、2014年に『京都』で毎日出版文化賞を受賞。その他の小説に『もどろき』『岩場の上から』、評論に『きれいな風貌――西村伊作伝』、鶴見俊輔・加藤典洋との共著『日米交換船』、加藤典洋との共著『考える人・鶴見俊輔』などがある。

 贈賞式は、来年1月29日、東京都内で行われる。

「大佛次郎賞」は、小説、ノンフィクション、歴史記述など幅広い分野で活躍した作家・大佛次郎の業績をたたえて、1973年に創設された文学賞。形式のいかんを問わず、優れた散文作品に与えられる。

 昨年は、角幡唯介さんの『極夜行』(文藝春秋)が受賞。過去には梅原猛さん『水底の歌 柿本人麿論』(第1回)、司馬遼太郎さんの『韃靼疾風録』(第15回)、吉田修一さんの『悪人』(第34回)、浅田次郎さんの『帰郷』(第43回)などが受賞している。

Book Bang編集部
2018年12月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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