第23回司馬遼太郎賞が決定 林新・堀川惠子『狼の義 新 犬養木堂伝』が受賞

文学賞・賞

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 第23回司馬遼太郎賞が12月4日に発表され、林新さんと堀川惠子さんの『狼の義 新 犬養木堂伝』(KADOKAWA)に決まった。

 受賞作『狼の義 新 犬養木堂伝』は、5・15事件で凶弾に斃れた男・犬養木堂の生涯を描いた評伝。林さんが生前、ライフワークとしていた執筆作業を堀川さんが引き継ぎ、完成させた。

 作家の佐藤優さんは、「夫婦による共作であるが、二〇一七年に逝去された林新氏(NHKプロデューサー)が一〇年をかけて資料を集め、構想を固め、着手した作品を、妻の堀川惠子氏が完成させた。マルクスの遺稿をエンゲルスが整理して『資本論』第二巻、第三巻を完成させたことを彷彿させる。マルクスとエンゲルスは、基本的世界観を共有していた。林新氏と堀川惠子氏も、基本的価値観と人生観を共有していたことが行間から伝わってくる。天国に旅立った林新氏は、堀川惠子氏の心の中だけでなく、この作品によって永遠に生きるのだ。その意味で、この作品の隠れた大きなテーマは愛だ」(本の旅人・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/567208

 著者の林新さんは、1957年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒後、NHKエグゼクティブ・プロデューサーとしてNHKスペンシャル、大型企画を担当。「ドキュメント太平洋戦争 責任なき戦場~ビルマ・インパール」(文化庁芸術作品賞)、「家族の肖像」シリーズ(ギャラクシー賞大賞)、「世紀を越えて」「一瞬の戦後史」「JAPANデビュー 天皇と憲法」など近現代史に造詣が深い。著書に『よみがえる熱球 プロ野球70年』『日本人と象徴天皇』がある。堀川惠子さんは、1969年生まれ。テレビ記者を経てノンフィクション作家となる。『死刑の基準』で講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命』で新潮ドキュメント賞、『教誨師』で城山三郎賞、『原爆供養塔』で大宅壮一ノンフィクション賞、『戦禍に生きた演劇人たち』でAICT演劇評論賞を受賞。林氏との共同制作に「ヒロシマ・戦禍の恋文」「新藤兼人95歳 人生との格闘果てず」「死刑囚 永山則夫~獄中28年間の対話~」などがある。。

 贈賞式は、来年2月14日、東京都千代田区のよみうりホールで開かれる「第24回菜の花忌」に合わせて行われる。

「司馬遼太郎賞」は、司馬遼太郎記念財団が主催する文芸・学芸・ジャーナリズムを対象とした賞。創造性にあふれ、さらなる活躍を予感させる作品に与えられる。第23回の選考は、安部龍太郎さん、井上章一さん、後藤正治さん、辻原登さん、柳田邦男さんの5氏が務めた。

 昨年は、江戸時代最大の疑獄事件「辰巳屋一件」を題材に描いた朝井まかてさんの『悪玉伝』が受賞している。過去には北方謙三さんの『水滸伝』(第9回)、原武史さんの『昭和天皇』(第12回)、葉室麟さんの『鬼神の如く 黒田叛臣伝』(第20回)などが受賞している。

Book Bang編集部
2019年12月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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