昭和45年、戦前から警察官を務める警視庁捜査1課と公安1課のナンバーツー(理事官)の2人は、いよいよ定年が近い。ある日、共通の友人だった週刊誌編集長の息子の自殺を知らされる。一流商社に入社したばかりの息子には、かつて過激派として逮捕された過去があった。自殺の理由を突き詰めてゆくうちに2人は、国家的な犯罪の匂いをかぎつける。
警察小説の名手が「昭和」の警察を舞台に描くシリーズの最新作。日本が高度経済成長を続けていた時代、猛烈に働いた勤め人や激しかった学生運動など、社会の世相が色濃くて懐かしい。(講談社・1700円+税)
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2020年1月12日 掲載
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