『地形の思想史』
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『地形の思想史』原武史著
[レビュアー] 産経新聞社
浜名湖畔の狭い岬の突端に建つ、木造平屋の小さな日本家屋。御用邸とは比較にならないほど庶民的なこの“海の家”に、昭和40~50年代にかけて、当時皇太子だった上皇ご夫妻がほぼ毎夏滞在されたのはなぜか。また明治初期の五日市憲法草案、戦後の日本共産党の武装闘争、新左翼赤軍派の軍事訓練が、ともに東京西部の山岳地帯で展開された意味は何か。
ある地形と、そこに訪れたり生活したりする人々との間には、しばしば密接な思想的関係がある。「空間政治学」を提唱する歴史家が、湾や岬、峠など7つの地形を歩いたユニークな紀行文的思想史。(KADOKAWA・1800円+税)