『予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成』
- 著者
- 大野泰敬 [著]
- 出版社
- クロスメディア・パブリッシング
- ISBN
- 9784295403555
- 発売日
- 2019/11/05
- 価格
- 1,628円(税込)
書籍情報:openBD
どうしても予算を獲得したい人へ。必ず通る資料作成3つのポイント
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『予算獲得率100%の企画のプロが教える 必ず通る資料作成』(大野泰敬 著、クロスメディア・パブリッシング)の著者は、ソフトバンク、カルチュア・コンビニエンス・クラブで新規事業に従事し、以後もインテリジェンス(現パーソルキャリア)で新規事業責任者を担当するなどしたのちに独立し、クラウド型カンパニーのスペックホルダーを創設したという人物。
当然ながら成功ばかりではなかったようですが、新規事業の承認を得て予算を獲得することについては100%成功しているのだそうです。
そこで本書では、「どうやって承認を得てきたのか」についてわかりやすく解説しているわけです。
本書では、アイデアをどうブラッシュアップして伝わりやすい資料にまとめるかを解説しています。
さらに、どうすれば企画のアイデアが思い浮かぶのか、プレゼンの際に何を気をつければいいのか、本書の内容を実行すれば、必ず承認の確率が上がるはずです。(「はじめに 100%成功してきた資料作成の秘密」より)
きょうは第1章「必ず通る資料の3つのポイント」に焦点を当て、基本的な考え方をご紹介したいと思います。
優れた企画でも、伝わらなければ価値はない
企画が通らない場合、「絶対うまくいくはずなのに、どうしてわかってもらえないんだ」というように、受け取る側の問題にしてしまいがち。
しかし、「わかってもらえない」「企画が通らない」ことには、ちゃんと理由があるものです。
企画の内容にもよりますが、特に新規事業など、大きな資金を必要とする企画であればあるほど、決済する側も軽々しく承認することはできません。
もし、あなたが億単位の投資が必要な企画を決済する側の立場だったら、どうでしょう。
その企画を十分に吟味し、計画に穴がないかをじっくり見極めようとするでしょう。(12ページより)
そう考えてみると、相手に納得してもらい、承認を得るためには、説得できるだけの材料を完璧に揃えておく必要があるということがわかります。
そして、それらの材料が相手に伝わるように、いかに資料にまとめるかがカギとなるわけです。(12ページより)
伝えられない人が陥りがちな「やってはいけないこと」
企画やアイデアをきちんと伝えることができない人がやってしまいがちなことは、次の3つ。
×準備が不十分
×質問に回答できない
×感情論に走る
(14ページより)
1つ目・準備が十分にできていない
そもそも必要が資料が足りていないとか、なにがしたいのかわかりにくいとか、実行するための計画がなかったりしたのでは、伝わらなくて当然。
いうまでもなく、企画を説明するにあたっては抜けや漏れのない資料を用意しておく必要があるわけです。
2つ目・質問に回答できない
どんな質問がくるか想定していなかったり、回答できるほどリサーチができていなかったり、回答するための資料がないということです。
しかしそんな状態では、企画はほぼ通らないと考えるべきでしょう。
プレゼンでは時間が限られているため、すべてを詳細に説明することは不可能。そこで、くるであろう質問を想定し、回答集を補足資料として準備しておくべきだと著者は言います。
3つ目・感情的になってしまう
プレゼンでツッコミを入れられたりしたとき、感情を出すのは危険だということです。
そもそも感情的になってしまうのは、数字的根拠が足りていなかったり、練習が足りていなかったり、自信がないなどの負い目があるから。
でも、不安や焦りが相手に伝わってしまうと、企画は通らなくなってしまうのです。(14ページより)
必ず通る資料作成の3つのポイント
資料作成において著者が意識しているのは、「資料全体をひとつのストーリーとしてつくり、そこにデータをもとにした数字の根拠を加え、シンプルでわかりやすいクリエイティブで表現する」こと。
まとめると、ポイントは次の3つになるといいます。
① ストーリー性を持たせて構成する
② データを集めてロジカルにする
③ シンプルでわかりやすいクリエイティブで伝える
(16ページより)
① 「なぜ?」「なにを?」「どうやって?」「どうなるのか?」を、ストーリーでわかりやすく伝え、たとえば②過去10年分のデータを分析した結果を示すなどの根拠を示すなどして「どうしてこうなるの?」という疑問を解消し、③言いたいことをシンプルに伝えるべきだということ。
そうすれば、早く理解してもらうことができるわけです。
逆にいえば、この3つのうちどれか1つが欠けてしまうと、企画を通すための資料としては成立しないということでもあります。
具体的に考えてみましょう。もしストーリーがすばらしかったとしても、データなどの数字的根拠がなければ、単なる夢物語で終わってしまうはずです。
逆に数学的根拠があったとしてもストーリーがなければ、「お金を投資してこの企画をやってみよう」と思ってもらえることは困難になります。
また、ストーリーも数学的根拠もあるといっても、それをうまく伝えることができなければ予算獲得はできないわけです。
だからこそ、「必ず通る資料作成」には、この3つのポイントが重要なのです。(16ページより)
本書で想定しているのは、おもに新規授業を提案するプレゼンのための資料づくり。
ただしそれらは、他の資料作成にも応用できるものだそうです。「必ず通る資料作成のポイント」が、わかりやすくレクチャーされているわけです。
資料作成に苦労されているのなら、参考にしてみるといいかもしれません。
Photo: 印南敦史
Source: クロスメディア・パブリッシング