第162回芥川賞、直木賞が発表 芥川賞に古川真人さん、直木賞に川越宗一さん

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 第162回芥川龍之介賞、直木三十五賞の選考会が1月15日、築地・新喜楽にて行われ、芥川賞に古川真人さん(31)の「背高泡立草」(すばる10月号)が、直木賞には川越宗一さん(42)の『熱源』(文藝春秋)が選ばれた。

 芥川賞を受賞した「背高泡立草」は、母の実家・吉川家の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに福岡から長崎の島に向かった大村奈美が触れた家族の記憶と歴史を描いた物語。

 著者の古川さんは、1988年福岡県福岡市生まれ。第一薬科大学付属高等学校卒。2016年「縫わんばならん」で第48回新潮新人賞を受賞しデビュー。2017年同作が第156回芥川龍之介賞候補となる。著書に『四時過ぎの船』『ラッコの家』があり、両作品とも芥川賞の候補となっている。

 直木賞を受賞した『熱源』は、白瀬矗の南極探検隊に参加した山辺安之助(ヤヨマネクフ)を軸に、明治維新後から太平洋戦争終戦にいたるまでの樺太(サハリン)に生きる人々を描いた歴史小説。

 著者の川越さんは、1978年大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科中退。2018年に「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。今回直木賞を受賞した『熱源』はデビュー2作目となる。

 芥川賞・直木賞はどちらも昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品が対象。主に新人作家に与えられる。直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短篇および長編の大衆文学作品を対象に優秀作を選定。主に新進・中堅作家が対象。

 第162回の候補作は以下のとおり。

■第162回芥川龍之介賞(文芸誌)
「幼な子の聖戦」木村友祐[著](すばる11月号)
「音に聞く」高尾長良[著](文学界9月号)
「デッドライン」千葉雅也[著](新潮9月号)
「最高の任務」乗代雄介[著](群像12月号)
「背高泡立草」古川真人[著](すばる10月号)

■第162回直木三十五賞(出版社)
『嘘と正典』小川哲[著](早川書房)
『熱源』川越宗一[著](文藝春秋)
『スワン』呉勝浩[著](KADOKAWA)
『背中の蜘蛛』誉田哲也[著](双葉社)
『落日』湊かなえ[著](角川春樹事務所)

Book Bang編集部
2020年1月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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