【話題の本】『分断を生むエジソン』北野唯我著

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 ■異色のリーダー論でエール

 著者は大手広告代理店、外資系コンサルタント会社を経て就職活動サイト運営会社の最高戦略責任者を務めるビジネスリーダーで、メディアでの発言も多い。読みやすい物語形式のビジネス書というスタイルでこれまでに「転職の思考法」「天才を殺す凡人」を刊行し、計26万部のヒット作となっている。本書は昨年11月に発売された、シリーズ第3作。

 主人公のアンナは若手起業家として注目されたが、自分の会社を追われ、再起を期す。物語はアンナとコンサルタント、黒岩の対話で展開。リーダー論だが、黒岩は単に利益を求める経営者を礼賛するのではなく、「人を幸せにできない経営者に価値はない」と言い切る。企業は公器であるとする著者のスタンスが垣間見える。

 担当編集者の山中武史さんによれば、「すぐに役立ちそうな普通のビジネス書と比べるとかなり異色」だが、著者は「いつ読んでも、ちゃんと読めば何か価値を感じてもらえる。そんな本にしたかった」と説明する。

 リーダーの真の強さとは何か。仕事をする意味を考えさせられるとともに明るく前向きな筆致で、すべての働く人への応援歌として心に響いた。(講談社・1500円+税)

 櫛田寿宏

産経新聞
2020年1月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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