第22回大藪春彦賞が決定 赤松利市『犬』

文学賞・賞

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 第22回大藪春彦賞の選考会が24日、東京・新橋の第一ホテルアネックスにて行われ、赤松利市さんの『犬』(徳間書店)の受賞が発表された。

 受賞作の『犬』は、大阪でニューハーフ店を営む桜を主人公に、店員として働く23歳の沙希、そして桜の昔の男・安藤勝が繰り広げる人間ドラマ。安藤にほだされ儲け話に乗ろうとする桜はどうなっていくのか? 愛と暴力と金に縛られながら足掻く姿を描く。

 文芸評論家の縄田一男さんは、本作について「赤松利市の作品を読むには、年齢制限がかかるかもしれないが、いくら表面に毒がまぶされていようとも訴えているのは、逆説的視座からのモラルの回復や、モラルの崩壊そのものをかろうじて防ぎ止めることに他ならない」(週刊新潮・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/595072

 著者の赤松さんは、1956年香川県生まれ。除染作業員を経て、2018年に「藻屑蟹」で第一回大藪春彦新人賞を受賞し、デビュー。「62歳、住所不定、無職」の作家として注目される。著書に『鯖』『らんちう』『ボダ子』『純子』『女童』がある。

 大藪春彦賞は、作家・大藪春彦の業績を記念して創設された文学賞。主にハードボイルド小説・冒険小説に分類される小説を対象とし、優れた物語世界の精神を継承する新進気鋭の作家及び作品に、毎年、授与される。第22回の選考委員は、大沢在昌さん、黒川博行さん、藤田宜永さんの三名が担当した。

 昨年は、野生の恐ろしさや自然の厳しさを描いた河崎秋子さんの『肉弾』(KADOKAWA)と終戦間際の北海道・室蘭を舞台にした葉真中顕さんのミステリー作品『凍てつく太陽』(幻冬舎)の2作が受賞。過去には福井晴敏さんの『亡国のイージス』(第2回)、雫井脩介さんの『犯人に告ぐ』(第7回)、近藤史恵さんの『サクリファイス』(第10回)などが受賞している。

 第22回の候補作品は以下のとおり。

『犬』赤松利市[著]徳間書店
『熱源』川越宗一[著]文藝春秋
『ドライブインまほろば』遠田潤子[著]祥伝社
『シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎』前川ほまれ[著]ポプラ社

Book Bang編集部
2020年1月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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