第71回読売文学賞が決定 小説賞に島田雅彦『君が異端だった頃』ほか

文学賞・賞

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 第71回読売文学賞の各賞が1日(土)に発表され、小説賞に島田雅彦さんの『君が異端だった頃』(集英社)が選ばれた。

 受賞作の『君が異端だった頃』は、『優しいサヨクのための嬉遊曲』で作家としてデビューした島田雅彦さんが、幼年期から文壇デビュー、埴谷雄高や大岡昇平、安部公房などの文豪たちとの交流、奔放な女性遍歴を赤裸々に描いた私小説的な物語。

 著者の島田雅彦さんは、1961年東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。在学中に「優しいサヨクのための嬉遊曲」で作家デビュー。1984年に『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、1992年に『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年に『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、2008年に『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、2016年に『虚人の星』で毎日出版文化賞を受賞する。著書に『天国が降ってくる』『僕は模造人間』『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』『おことば』『徒然王子』『悪貨』『ニッチを探して』などがある。

 そのほか「戯曲・シナリオ」、「評論・伝記」、「随筆・紀行」、「詩歌俳句」、「研究・翻訳」の5部門が発表されており、戯曲・シナリオ賞は劇団「大人計画」宰する松尾スズキさんの『命、ギガ長ス』(白水社)、評論・伝記賞は雑誌「幻想文学」編集長として晩年の澁澤龍彦に接した礒崎純一さんの『龍彦親王航海記 渋沢龍彦伝』(白水社)、随筆・紀行賞は評論家の津野海太郎さんの『最後の読書』(新潮社)、詩歌俳句賞は川野里子さんの詩集『歓待』(砂子屋書房)、研究・翻訳賞は早稲田大学名誉教授でフランス文学者の千葉文夫さんの『ミシェル・レリスの肖像』(みすず書房)が受賞した。

 贈賞式は2月17日に、東京・内幸町の帝国ホテルで行われ、受賞者には正賞の硯と副賞の200万円が贈られる。

 読売文学賞は、1949年に読売新聞社が創設した文学賞。過去1年間に発表された作品を対象とし、「小説」、「戯曲・シナリオ」、「評論・伝記」、「詩歌俳句」、「研究・翻訳」、「随筆・紀行」の全6部門の作品を選出する。第71回の選考委員は、池澤夏樹(作家)、荻野アンナ(作家、仏文学者)、川上弘美(作家)、川村湊(文芸評論家)、高橋睦郎(詩人)、辻原登(作家)、沼野充義(文芸評論家、ロシア・東欧文学者)、野田秀樹(劇作家)、松浦寿輝(詩人、作家、批評家)、渡辺保(演劇評論家)が務めた。

第71回読売文学賞 各賞の受賞作
小説賞:『君が異端だった頃』島田雅彦[著]集英社
戯曲・シナリオ賞:『命、ギガ長ス』松尾スズキ[著]白水社
評論・伝記賞:『龍彦親王航海記 渋沢龍彦伝』礒崎純一[著]白水社
随筆・紀行賞:『最後の読書』津野海太郎[著]新潮社
詩歌俳句賞:歌集『歓待』川野里子[著]砂子屋書房
研究・翻訳賞:『ミシェル・レリスの肖像』千葉文夫[著]みすず書房

Book Bang編集部
2020年2月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク