『日本の山ができるまで 五億年の歴史から山の自然を読む』小泉武栄著
[レビュアー] 産経新聞社
国土の大部分が山地である火山列島の日本。南北に広がる数々の名山は、地質学的に見ても大陸の山脈と比べ複雑な成り立ちを遂げており、同地域の山でも地質が多様だ。自然地理学者の著者が、5億年前にさかのぼる列島と山々の成り立ちを、豊富なカラー写真をまじえて年代順にたどっていく。
たとえば日本アルプスの剱岳はゴンドワナ大陸由来で1億8000年前に生成された古い花崗(かこう)岩だが、同じ3000メートル級でも北岳は100万年前からの隆起で持ち上げられた比較的新しい石灰岩や玄武岩。山を見る目を変えさせる、令和の『日本風景論』だ。(エイアンドエフ・2400円+税)