本屋大賞候補作が続々ランクイン 注目は『流浪の月』

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 2月12日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『熱源』が獲得した。
 第2位は『背高泡立草』。第3位は『むかしむかしあるところに、死体がありました。』となった。

 4位以下で注目は10位に初登場の『流浪の月』。4月に発表予定の2020年本屋大賞のノミネート作品。1位の『熱源』、3位の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』、4位の『店長がバカすぎて』、5位の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、7位の『ライオンのおやつ』、9位の『ノースライト』も同じくノミネート作品だ。

『流浪の月』はボーイズラブ作家として10年以上のキャリアを持つ凪良ゆうさんの一般文芸作品。家に帰れない主人公の少女は公園で出会った青年に助けを求める。青年は彼女を受け入れるも世間からは誘拐事件として捉えられてしまう。社会から一方的に被害者と加害者としてそれぞれ糾弾、同情された二人だが、数年後に再開し交流がはじまる。常識とはなにか、普通とはなにかを考えさせてくれる作品だ。

 書評家の石井千湖さんは二人の関係について、《ふたりが恋に落ちたとしたら、ありきたりで幼稚な話になっただろう。しかし文と更紗は恋人でも友達でも敵味方でもない。本書は一対一の人間関係に新たな可能性を切り開いているのだ。》と解説し、《断片的な情報をもとに人間をわかりやすい型にはめこむ世間に、更紗が最後通牒をつきつける三〇二ページは、読んでいて霧が晴れるような心地がした。》と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/587302

1位『熱源』川越宗一[著](文藝春秋)

樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。 一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。 日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。 文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。 樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。 金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『背高泡立草』古川真人[著](集英社)

草は刈らねばならない。そこに埋もれているのは、納屋だけではないから。記憶と歴史が結びついた、著者新境地。 大村奈美は、母の実家・吉川家の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに福岡から長崎の島に向かう。吉川家には<古か家>と<新しい方の家>があるが、祖母が亡くなり、いずれも空き家になっていた。奈美は二つの家に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川家は<新しい方の家>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統制が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から家を買って移り住んだという。それが<古か家>だった。島にはいつの時代も、海の向こうに出ていく者や、海からやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで蝦夷でも漁をした者がおり、戦後には故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々がいた。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、吉川の者たちと二つの家に流れた時間、これから流れるだろう時間を思うのだった。(集英社ウェブサイトより)

3位『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人[著](双葉社)

昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!? 「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。(双葉社ウェブサイトより)

4位『店長がバカすぎて』早見和真[著](角川春樹事務所)

5位『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼[著](講談社)

6位『清明 隠蔽捜査(8)』今野敏[著](新潮社)

7位『ライオンのおやつ』小川糸[著](ポプラ社)

8位『イマジン?』有川ひろ[著](幻冬舎)

9位『ノースライト』横山秀夫[著](新潮社)

10位『流浪の月』凪良ゆう[著](東京創元社)

〈単行本 文芸書ランキング 2月12日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2020年2月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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