言葉を最強の武器にする方法を書いた『言語化力』売れ行き好調なワケ

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誰もが「伝える価値」を持つ時代に言葉を最強の武器にする方法

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 ビジネスパーソンの間に『キングダム』(原泰久、集英社)という歴史長編漫画のブームを巻き起こし、雑誌「ブレーン」(宣伝会議)にて「2019年注目のクリエイター」に選出された三浦崇宏の『言語化力』の初速が好調だ。

 2016年に無名のアカウントから発せられた「保育園落ちた 日本死ね」というツイートが国を動かすきっかけになったように、誰もが「伝える価値」を持つ時代になり、「自分の言葉で話せるかどうか」、そして「言葉で他者を動かすことができるかどうか」が重要になってきている。

 言いたいことはあっても、うまく言語化できなかった経験は誰にでもあるだろう。言語化には段階があるという。0:スタンスを決める。自分が絶対曲げたくない価値観はどんなものか?どんな社会であってほしいか?を自問自答することで、まずは自分のスタンスを決める。1:本質をつかむ。「抽象化」ともいわれる作業で、固有名詞を省き、時系列も無視し、行為と現象と関係性だけを抜き出す。2:感情を見つめる。自分がその感情を抱いた理由を考える。腑に落ちる答えが見つかるまで、なぜ?を繰り返す。3:言葉を整える。言い方を丁寧にする。ポジティブな表現に言い換える。自分の責任にする。可能性を残す。相手に残したい印象によって、別の視点から言い換えたり、言葉の順番を変える。そうすることで全く違った印象を相手に与えられるようになる。

 印象に残る言葉を生み出すポイントは四つある。「短くシンプル」か。「意外性」があるか。「学び」があるか。明日から「すぐにやれる」かだ。さらに、強い言葉を生み出すには次の四つのポイントを意識するとよい。「視点を上げる」「領域を広げて、一般化して考える」「逆張りをする」「ゴールから逆算する」の四つだ。

 このように本書には言葉を最強の武器にする方法が書かれている。あなたが人生を変えたいと願うのならば、どんな風に変わりたいかを言葉で明確にすればよい。どんどん言葉にしていこう。質より量が大事だ。その言葉がいつかあなたをあるべき場所に連れて行ってくれるのだから。

新潮社 週刊新潮
2020年2月20日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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