【話題の本】『童謡名曲事典』長田暁二著 100年先まで伝えたい歌の数々

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 「童謡」の定義は「子供の歌」だが、狭義では、約100年前の大正期に始まった創作童謡運動から生まれた歌を指すことが多い。教育臭が強い、学校で習う『(文部省)唱歌』に批判的な立場にたち子供たちが楽しめる、芸術色豊かな歌を「民間」からつくろうと、詞では野口雨情(うじょう)、北原白秋(はくしゅう)、三木露風(ろふう)ら、曲では山田耕筰(こうさく)、中山晋平(しんぺい)らによって『赤い靴』『シャボン玉』『月の沙漠(さばく)』『赤蜻蛉(とんぼ)』『證城寺(しょうじょうじ)の狸囃子(たぬきばやし)』といった、多くの名曲が送り出されてきた。

 本書は、レコード会社のディレクターなどを務め、著書約500冊の“歌のレジェンド”が、約160曲の「童謡」を取り上げ、楽譜・歌詞・解説付きで紹介した。「永久保存版」と銘打っただけに、NHKの「みんなのうた」で取り上げられたもの、アニメ主題歌、変わったところでは、日本統治下の台湾から誕生した『ペタコ』(※台湾の鳥のこと)など、今後、100年先まで伝えてゆきたい童謡の数々が時代とジャンルを超えて幅広く網羅されている。

 「唱歌」偏重とされる音楽教科書から、今では消えてしまった童謡の名曲も多く、タイトルを見ているだけで懐かしさが込み上げてくる。(全音楽譜出版社・7500円+税)

 喜多由浩

産経新聞
2020年4月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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