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- ペスト
- 価格:825円(税込)
5月19日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文庫第1位は『ソードアート・オンライン(24)ユナイタル・リングIII』が獲得した。
第2位は『日雇い浪人生活録(9) 金の色彩』。第3位は『素敵な日本人』となった。
4位以下で注目は4位にランクインした『ペスト』。1947年に刊行されたアルベール・カミュの代表作。新型コロナウイルスの脅威が広まった1月頃よりSNSで注目を集め、今年に入り10回以上版を重ねている。ペスト禍にみまわれた都市オランの10ヶ月に及ぶ都市封鎖と、その中で混乱する人々を描いた群像劇。
フランス文学者の芳川泰久さんは『ペスト』のなかで描かれる、伝染病の蔓延を市民に知らせたがらない為政者の姿、楽観論しか伝えないメディア、そして都市封鎖により「あらゆる喜びを追い払ってしまった」状況は、既に《日本の玄関口でもみられる》とし、ペストによる自粛生活を「それは自宅への流刑であった」と表す一文に《われわれの感覚を言い当てているように感じられた》と納得する。そして描かれるペストは《戦争の寓意》であるとしながらも、現代の状況を《ウィルスを敵とした全世界を巻き込んだ全面戦争ではないだろうか》と結論づけている。
https://www.bookbang.jp/review/article/623667
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- 白の闇
- 価格:1,430円(税込)
また『ペスト』と同じく感染症の蔓延を描いた『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ[著]雨沢泰[訳](河出書房新社)も売れている。同書で描かれるのは、視界が突然真っ白になり「ミルク色の海」が広がる謎の伝染病の蔓延。政府は強硬手段を講じ隔離を進めるも、白い闇に囚われた人々は絶望し、暴力が支配する世界がやってくる。翻訳家でエッセイストの鴻巣友季子さんは、この政府の対応はファシズム独裁政権への批判として描かれていると解説。また《「白の闇」とは、目を開いていながら見ようとしない人々を表しているのではないか。》とこちらも寓意の裏に込められた意味を紐解いている。
https://www.bookbang.jp/review/article/619818
1位『ソードアート・オンライン(24)ユナイタル・リングIII』川原礫[著]abec[イラスト](KADOKAWA)
二百年後の《アンダーワールド》でキリトを運命の出会いが待つ! 総務省仮想課職員、菊岡誠二郎との再会。それはキリトとアスナ、アリスを、《大戦》から二百年後の《アンダーワールド》へといざなうものだった。 再びあの世界へ降り立った彼らを待っていたのは、ロニエとティーゼの子孫であるローランネイとスティカ、そして。「これが《星王》を名乗る男の心意か。――よろしく、キリト君」《整合機士団》団長を名乗るその男は、かつてキリトが失った《彼》と同じ目をしていて――。 一方、《ユナイタル・リング》世界では、キリトと仲間たちを狙う最大の《悪意》がついにその姿を現す!!(KADOKAWAウェブサイトより)
2位『日雇い浪人生活録(9) 金の色彩』上田秀人[著](角川春樹事務所)
先代・吉宗の遺命で幕政の中心を米から金へ転換する改革を進めるお側御用取次・田沼主殿頭意次。その手伝いをしている両替商・分銅屋仁左衛門。二人は腹を立てていた。分銅屋の用心棒・諫山左馬介を御家人殺しの下手人として、会津藩の留守居役高橋外記に売った人物がいる──田沼意次は高橋外記に牙を?き、分銅屋は南町奉行所の御用聞きを呼び付けた。左馬介は日々実直に務めを果たすが、柳橋芸者・加壽美こと御庭番の村垣伊勢と分銅屋の女中・喜代との間で板挟みに。真面目で正直な主人公が大人気、シリーズ第九作。(角川春樹事務所)ウェブサイトより
3位『素敵な日本人』東野圭吾[著](光文社)
一人娘の結婚を案じる父に、娘は雛人形を指差して大丈夫という。そこには亡き妻の秘密が……。(「今夜は一人で雛祭り」)独身女性のエリーが疑似子育て体験用赤ちゃんロボットを借りたところ……。(「レンタルベビー」) 世にも珍しい青色の猫。多くの人間が繁殖を目論むが……。(「サファイアの奇跡」)日本人に馴染み深い四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリ5編を収録!(光文社ウェブサイトより)
4位『ペスト』カミュ[著]宮崎嶺雄[訳](新潮社)
5位『黄昏坂 七人斬り』門田泰明[著](徳間書店)
6位『この素晴らしい世界に祝福を!(17)この冒険者たちに祝福を!』暁なつめ[著]三嶋くろね[イラスト](KADOKAWA)
7位『冬桜ノ雀 居眠り磐音(29)決定版』佐伯泰英[著](文藝春秋)
8位『侘助ノ白 居眠り磐音(30)決定版』佐伯泰英[著](文藝春秋)
9位『86 エイティシックス Ep.8 ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター』安里アサト[著]しらび[イラスト]I-IV[メカニックデザイン](KADOKAWA)
10位『サロメ』原田マハ[著](文藝春秋)
〈文庫ランキング 5月19日トーハン調べ〉
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