リスクに打ち勝ち、豊かに生きるための「クリエイティブ思考」を身につけよう

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クリエイティブ・コーリング

『クリエイティブ・コーリング』

著者
チェイス・ジャービス [著]/多賀谷正子 [訳]
出版社
CCCメディアハウス
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784484201030
発売日
2020/04/22
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

リスクに打ち勝ち、豊かに生きるための「クリエイティブ思考」を身につけよう

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

著者によれば、『クリエイティブ・コーリング 創造力を呼び出す習慣』(チェイス・ジャービス 著、多賀谷正子 訳、CCCメディアハウス)は「創造性」に関する書籍。

しかし、より広い意味でいうと「人生や生き方」について書かれたものでもあるのだそうです。

読むことによって、クリエイティブなスキルが高まることは間違いないといいます。

とはいえ、いいデザイナーとか、いい作家、いい写真家、いい起業家などになるための方法を書いたものではないということ。

つまり、もっと豊かで、奥深い、生きがいの感じられる人生を送るための術を明らかにしているわけです。

よい人生を歩むためには設計が必要だ。この本では、クリエイティブになることをとおして、よりよい人生を歩む方法を伝える。小さなことでもいいから、つねに自己表現することを心がけていれば、そのうちその作用が現れ、自然と思い描いたとおりの人生を創造できるようになる。

創造する力を形にすることは、運動、適切な栄養、マインドフルネスと同じように、健康と幸福感には欠かせないものだ。あなたの内側に秘められたエネルギーを解き放ってこそ、あなたらしい人生を精一杯生きることができる。 この本は、あなたにこそ読んでほしい。(「はじめにひと言!」より)

著者のこうした思いが込められた本書のSTEP 2「設計する 夢を実現するための戦略を設計しよう」のなかから、第4章「自分に合ったシステムを創る」に焦点を当ててみたいと思います。

クリエイティブな思考を身につける

著者は本書において、「リスクとうまくつきあっていく」ことの重要性を説いています。

しかしそのためには、「現実的なリスク(計画もせずに仕事を辞めたら住むところを失うことになる、など)」と「知覚リスク(インスタグラムに作品をアップロードしたら、まわりからどんな反応があるか、など)」をきちんと見分けられるようになる必要があるそうです。

理由は明快です。つまり、自尊心を傷つけられるような不条理なリスクに打ち勝つ方法を学ばない限り、本当に自分らしくあることはできないから。

そして、クリエイターとして成功することも難しくなってしまうから。

クリエイティブな思考は、リスクに対処するときだけでなく、積極的になにかに取り組む際にも必要になってくるもの

どうすれば自分の心をオープンで、ハッピーで、ポジティブな状態にしておけるか、その方法を知っておかなければならないということです。

なぜなら、どんな人生になるかは、「どう考え、どう感じるか」で決まってくるものだから。

一般的に、ポジティブ思考は健康にいいといわれますし、健康であれば気分もよくなることでしょう。

しかし、それだけではなく、健康は集中力やパフォーマンスの高さとも関係が深いのだとか。

自分が創りたいものを創るとき、それがなんであったとしても、心のありようが大きく関わってくるということです。

著者は、思考とはビルの1階、あるいは岩盤のようなものだと思っているのだそうです。

誤った基盤の上に難題を積み上げていったとしたら、基盤はあっという間に崩れ、トラブルに陥ることになるでしょう。しかし正しい基盤であれば、そこからロケットを打ち上げることも可能になるかもしれません。

したがってクリエイティブな思考を身につけたいなら、まずは次のように信じるべきだというのです。

自分はクリエイティブな人間である 世界は可能性に満ちている 状況はいつだって変えられる 創造性を使えば、いつでも望むような変化をもたらすことができる 創造性は自分にもともと備わっている健全なものであるけれども、その力を発揮するには訓練が必要だ 創造性は個人のもつ最大の力である (156ページより)

クリエイティブな思考を身につけるには、創造的な行動を繰り返しとることが大切。

そして思考を変えるには、上記の信念をつねに形にしていく努力が必要だということ。

自分の創造性を発展させようと懸命に取り組んでいれば、「自分には才能がない」とか「自分はそんな運命にない」などといった考えは消え去っていくもの。

そして創造するための筋肉が強くなるほど、自分が創るものには深みが増していくといいます。

人生も同じであり、それがクリエイティブの効用。クリエイティブな思考は好循環を生み出してくれるということです。(154ページより)

目標の立て方

著者は目標のことを、「自分がいまどのあたりを走っているのかを知らせてくれる道路標識のようなもの」だと表現しています。

したがって目標を立てるときは、自分が人生で本当にやりたいと思っていることと方向性が同じものにすることが大切だといいます。

なお、やる“べき”だと思うことを目標にしないことも重要。目標を達成する意識があってこそ、やる気は湧いてくるものだからです。

目標がなんであれ、必要なのは創造力。日常生活のどんなに些細なことにおいても、人はつねに自分のためになにかしらの結果を、ひいては人生を創造しているもの。

だからこそ、その結果がどんなものであることを自分が望んでいるのか、はっきりと知っておく必要があるということです。

そうした考え方を軸として、以下の基本的なことに取り組んでほしいと著者は訴えています。

1  目標は紙に書き、定期的に口に出して言ってみること。毎日やるといい。

2  目標の数は3つか4つ以内に絞ること。そうすればそれに集中できる。

3  ひとつひとつの目標には適切な期限を設けること。目標が具体的であればあるほど、達成しやすくなる。

(158ページより)

たとえば「ダンスを覚える」を目標にするのではなく、「結婚式でマカレナダンスを踊る」など、目標を具体的にすることが大切だと著者はいいます。

目的地がわからなければ、目的地にたどり着くことはできない」というのがその理由。(157ページより)

「想像する」「設計する」「実行する」「ふくらませる」という4ステップに沿った著者の提案やメッセージは、決して難解なものではなく、むしろシンプル。

そのため読者は、自然に創造力を育てていくことができるわけです。気楽な気持ちで手に取り、参考にしてみるのもいいかもしれません。

Photo: 印南敦史

Source: CCCメディアハウス

メディアジーン lifehacker
2020年5月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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