和久田麻由子アナも共感「私達に覚悟を与えてくれる言葉」 五木寛之『大河の一滴』に注目集まる

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 6月2日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文庫第1位は『大河の一滴』が獲得した。
 第2位は『素敵な日本人』。第3位は『ペスト』となった。

 1位の『大河の一滴』は五木寛之さんが1998年に著した人間論。バブル経済が崩壊し、深刻な不況が続いていた時代に書かれた一冊で、人生は苦しみと絶望の連続であると諦め、覚悟をきめたときに真の希望と勇気が訪れると説いている。新型コロナウイルスの蔓延で、社会に暗い影が差すなかで再び同書に注目が集まっている。

 5月29日放送されたNHKの「ニュースウォッチ9」に五木さんが出演。「時代の変化の流れのなかで、大河の一滴として海に向かって動いていくしかない」「この時代を精一杯生きるしかないというのが僕の考え」と語った。また苦しみの中でも足元の自分の影を見ながら「大きな光が自分を照らしてくれているからこそ、影ができているんだと思うことができる」と考え方を変えることで得られるものがあると説いた。また「Alone and Together」という言葉を紹介し、「ひとりでいてもみんな一緒」というカルチャーが生まれてくる、と新しい時代の連帯のあり方について語った。五木さんにインタビューをした和久田麻由子アナウンサーは「今まさに苦境のなかにある私達に覚悟を与えてくれる言葉でした」とコメントした。

1位『大河の一滴』五木寛之[著](幻冬舎)

2位『素敵な日本人』東野圭吾[著](光文社)

一人娘の結婚を案じる父に、娘は雛人形を指差して大丈夫という。そこには亡き妻の秘密が……。(「今夜は一人で雛祭り」)独身女性のエリーが疑似子育て体験用赤ちゃんロボットを借りたところ……。(「レンタルベビー」) 世にも珍しい青色の猫。多くの人間が繁殖を目論むが……。(「サファイアの奇跡」)日本人に馴染み深い四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリ5編を収録!(光文社ウェブサイトより)

3位『ペスト』カミュ[著]宮崎嶺雄[訳](新潮社)

アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。(新潮社ウェブサイトより)

4位『ソードアート・オンライン(24)ユナイタル・リングIII』川原礫[著]abec[イラスト](KADOKAWA)

5位『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』柚月裕子[著](講談社)

6位『これは経費で落ちません!(7)経理部の森若さん』青木祐子[著]uki[画](集英社)

7位『高校事変(VII)』松岡圭祐[著](KADOKAWA)

8位『新装版 帰郷 刑事・鳴沢了』堂場瞬一[著](中央公論新社)

9位『日雇い浪人生活録(9)金の色彩』上田秀人[著](角川春樹事務所)

10位『傭兵団の料理番(9)』川井昂[著]四季童子[絵](主婦の友社)

〈文庫ランキング 6月2日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2020年6月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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