【話題の本】『2020年6月30日にまたここで会おう』瀧本哲史著

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■こんな講義を受けたかった

 8年前の6月30日、東京大学で開かれた“伝説の講義”を書籍化。昨年夏、47歳の若さで急逝した著者が、これからの日本を担う若者が生き抜くための心構えと戦い方を説いた「講義録」であり、「檄(げき)」だ。

 投資家の著者は長期低迷中の日本社会に危機感を覚え、京都大客員准教授として次世代の育成にも尽力。「バイブル」と「カリスマ」の否定、本当は「聞いたもん勝ち」である交渉の重要性、教養を学ぶ必要性…。2時間超の講義で語られた言葉はいずれも平易ながら、熱量とライブ感、強い説得力を帯びる。

 印象的な書名は、著者が講義の終盤に実際に投げかけた言葉だ。星海社によると、4月末の刊行後、幅広い世代から反響が相次ぎ、累計発行部数は5万部に。“その日”である今月30日に受講者らの「再集結」が企画されていたが、新型コロナ禍で断念、特設サイトを開設する。

 時にド直球の正論や容赦のない言葉も飛び出すが、約300人の受講者に覚悟と実践を促す著者の言葉から感じるのは「情の深さ」だ。「変えるって、本気でやる気になれば、意外にできるんです」。自分もこんなに熱く、刺激的な講義を受けてみたかった…。(星海社新書・980円+税)

 本間英士

産経新聞
2020年6月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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