芥川賞・直木賞の候補作が発表 太宰治の孫にあたる石原燃に注目集まる

文学賞・賞

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 6月16日(火)に、第163回芥川龍之介賞と直木三十五賞の候補作が発表された。

 芥川賞の候補作に選ばれたのは、石原燃さんの「赤い砂を蹴る」、岡本学さんの「アウア・エイジ(Our Age)」、高山羽根子さんの「首里の馬」、遠野遥さんの「破局」、三木三奈さんの「アキちゃん」の5作品。

 5人中4人が初候補となり、高山さんは3回目の候補となった。今回の発表で注目されたのは作家・津島佑子さんの娘で太宰治の孫にあたる石原さん。候補作は石原さんの小説デビュー作で、ブラジルを訪れた女性が亡き母と向き合う物語を描いている。

 一方、直木賞は、伊吹有喜さんの『雲を紡ぐ』、今村翔吾さんの『じんかん』、澤田瞳子さんの『能楽ものがたり 稚児桜』、遠田潤子さんの『銀花の蔵』、馳星周さんの『少年と犬』の5つの作品が選ばれた。

 デビュー以来、『不夜城』や『夜光虫』『アンタッチャブル』など候補に上がり続けている馳さんは、今回で7回目の候補となる。澤田さんは4回目、伊吹さんは3回目、今村さんは2回目、遠田さんは今回初の候補となった。

■第163回芥川龍之介賞(文芸誌)
石原燃「赤い砂を蹴る」(文學界6月号)
岡本学「アウア・エイジ(Our Age)」(群像2月号)
高山羽根子「首里の馬」(新潮3月号)
遠野遥「破局」(文藝夏季号)
三木三奈「アキちゃん」(文學界5月号)

■第163回直木三十五賞(出版社)
伊吹有喜『雲を紡ぐ』(文藝春秋)
今村翔吾『じんかん』(講談社)
澤田瞳子『能楽ものがたり 稚児桜』(淡交社)
遠田潤子『銀花の蔵』(新潮社)
馳星周『少年と犬』(文藝春秋)

 選考会は2020年7月15日に東京・築地の料亭「新喜楽」で行われ、同日中に受賞作の発表、受賞者の記者会見が予定されている。芥川賞の選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さんの9名、直木賞の選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、髙村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさんの9名が務める。

 芥川賞・直木賞はどちらも昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品が対象。主に新進作家に与えられる。直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短編および長編の大衆文学作品を対象に優秀作を選定。主に新進・中堅作家が対象。

 前回の芥川賞は、家族の記憶と歴史を描いた古川真人さん小説『背高泡立草』(集英社)が受賞。直木賞は、樺太(サハリン)に生きる人々を描いた川越宗一さんの『熱源』(文藝春秋)が受賞している。

Book Bang編集部
2020年6月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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