【話題の本】『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』左右社編集部編

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■77人のやむにやまれぬ思い

 コロナ禍によって4月7日、わが国で初めて緊急事態宣言が発出された。人々は何を思い、どんな暮らしをしているのか。本書は60職種77人の日々の記録をまとめた「コロナ日記アンソロジー」だ。歴史の生々しい記録であると同時に、為政者がこれから施策を立案するにあたって傾聴すべき声が数多く刻まれている。

 左右社の青●諒子さんによると、4月7日の朝会で、同社代表の小柳学さんが「緊急事態宣言下の記録を残そう」とスタッフ全員に命じたところから企画が動き出した。働き方が変化した職業、通常通りに仕事をしなければいけない職業、普段から在宅仕事で一見変化が見えない職業を軸に人選していった。そうして集まった日記を、売る、運ぶ、闘う、率いる、添う、描く、書く、聞く、創る、守る、繋(つな)ぐ、導く-の12に分類して編んだ。

 同社の筒井菜央さんは「一日も早く出すべき本、との思いでスケジュールを精密に組んでかかった」と話す。誰もが締め切りを厳守し、ほぼ全員が設定した最高字数まで書いてくれた。それゆえに予想以上に厚い本になってしまった。その厚さは77人のやむにやまれぬ思いの集積だ。6月17日刊。初版1万部。(左右社・2000円+税)

 桑原聡

●=木へんに却の去がタ

産経新聞
2020年6月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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