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- 現代ミリタリーのゲームチェンジャー
- 価格:2,200円(税込)
■米中冷戦時代のキーワード
最近は軍事関連の分野で「ゲームチェンジャー」という言葉が目につくようになった。本書は、現在の軍事を理解するために欠かせないキーワードとして取り上げ、解説する。
もともとスポーツの世界でゲームの流れを変える選手を指す用語だが、軍事の分野では「将来の軍事バランスを一変する可能性を秘めたもの」(令和元年版「防衛白書」)。そこだけをみると、画期的な高性能兵器(ハードウエア)を示しているようにも思えるが、著者によれば、実は「どうやって勝負するか」、戦い方の新たなルールを定義するソフトウエア先行の考え方だという。
自衛隊が導入したステルス戦闘機F35は、米国のゲームチェンジャーを狙った新鋭機だが、もしこの機体で従来の格闘戦ばかり訓練するようではゲームチェンジャーにはなりえない。また、垂直離着陸機「オスプレイ」は技術的には画期的航空機だが、ゲームチェンジャーではない、と著者。その理由が分かりやすく書かれている。
新型コロナウイルス禍すら世界の新秩序構築へのゲームチェンジャーとして利用しているかにみえる中国。その動向も視野に入れ、示唆に富む一冊である。(井上孝司著/潮書房光人新社・2000円+税)
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