『パパいや、めろん 男が子育てしてみつけた17の知恵』
- 著者
- 海猫沢 めろん [著]/三津 キヨ [イラスト]
- 出版社
- 講談社
- ジャンル
- 文学/日本文学、評論、随筆、その他
- ISBN
- 9784065192382
- 発売日
- 2020/06/24
- 価格
- 1,320円(税込)
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
【聞きたい。】海猫沢めろんさん 『パパいや、めろん』
[文] 産経新聞社
■「デスゲーム」戦い抜くために
令和時代も親は大変だ。仕事では成果が求められるし、コロナ禍で育児の先行きも見通せない。<子育ては終わりなきデスゲームだ>-。こう語る本書は、聞き心地の良い言葉を並べただけの育児本ではない。作家業と子育てを並行して経験した著者が振り返る、男性目線のアドバイスを収録した子育てエッセー集だ。
「育児はあらかじめ知っていれば、楽になることがすごく多い。当時は余裕がなくていつも殺伐としていましたが、子供も今では小学生。今なら育児に悩むお父さんお母さんの助けになれるのではと思いました」
本書はパートナーの妊娠・出産を経て、男児が育っていく過程を記録。家族の健康面の事情で半年の「ワンオペ育児」を経験し、保活(保育園探し)などにも大苦戦した。自身の失敗談と成功例を踏まえただけあって、内容は実用的だ。
「出産前に洗濯乾燥機・食器洗い機・電動自転車の3つを買うべきです。値段は高いですが、これだけで戦力が全然違ってくる。現代の『三種の神器』です」
子供に「自分でゲームやりなさい!」と説教するワケ。日本史・世界史の漫画の読み聞かせをする理由…。ユーモアと毒をまぶした文章からは、現代の子育てのリアルな風景が伝わる。「モテたいと思う男性も、変な恋愛マニュアルを読むよりこっちを読んだ方が現実的だし、女性からの評価も上がると思います」
デザイナーやホストなど多様な職を経験したのち、平成16年に作家デビュー。現在も家事、育児に仕事と奮闘する。「子育てでつらいのは、終わりが見えないこと。3年ごとに楽になります。まずは3年、次にまた3年…と区切りを定め、乗り切ってください」
現代社会における子育ての難しさや息苦しさといった問題提起もあるが、読めば「子育てっていいものだな」と前向きな気持ちになれる一冊だ。夜中に夫の枕元に忍ばせておくといいかもしれない。(本間英士)
◇
【プロフィル】海猫沢めろん
うみねこざわ・めろん 昭和50年、大阪府生まれ。主な著書に、カリスマホストが子育てに挑戦する小説『キッズファイヤー・ドットコム』など。