【気になる!】文庫『民警』
[レビュアー] 産経新聞社
日本の民警こと民間警備会社の歴史は、昭和37年に2人の若者が始めた日本警備保障(現セコム)に始まる。そして、同社に39年の東京五輪で選手村の警備を発注した元内務官僚が40年に綜合警備保障(ALSOK)を創立し、続いた。
まだ警備業に対する世の中の認知がないなか、テレビドラマや学生運動、連続射殺魔事件、三億円事件などをきっかけに注目され、急成長。ITの導入、治安情勢の変化もあり今や公警察のパートナー、「社会システム産業」といわれるまでになった。
その歩みを硬軟取り混ぜたエピソードとともにたどる本書。読み応え十分だ。(猪瀬直樹著、小学館文庫・620円+税)