馳星周さん23年を経て直木賞受賞 芥川賞は注目の作家2人がW受賞

文学賞・賞

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 第163回芥川龍之介賞、直木三十五賞の選考会が7月15日、築地・新喜楽にて行われ、芥川賞に高山羽根子さん(45)の「首里の馬」(新潮3月号)と遠野遥さん(29)の「破局」(文藝夏季号)が、直木賞には馳星周さん(55)の『少年と犬』(文藝春秋)が選ばれた。高山さんは3回目、遠野さんは初めての候補での受賞。馳さんは『不夜城』で候補となってから23年、7度目の候補での受賞となった。

 芥川賞を受賞した「首里の馬」の舞台は沖縄。古びた郷土資料館に出入りしながら、オンラインモニター越しにクイズを出題する“奇妙”な仕事に就く主人公・未名子が、一頭の馬との出会いによって変化していく日々を描いた一作。

 著者の高山さんは、1975年富山県生まれ。2010年に「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞佳作を受賞しデビュー。2016年に「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞を受賞。著書に『オブジェクタム』『居た場所』『如何様』などがある。

 もう一つの受賞作「破局」は、高校ラグビーの指導を行いながら、公務員試験突破を目指す大学の陽介を主人公にした物語。正しい行いをしていると自覚する一方、本人が自覚できずにいるいびつな内面を描く。

 著者の遠野さんは、1991年神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。2019年に『改良』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。本作が2作目の作品となる。

 直木賞を受賞した『少年と犬』は、傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添った一匹の犬と家族を描いた連作集。

 書評家の杉江松恋さんは、本作について《二〇一〇年代に日本は国ぐるみの機能不全に陥った。その姿が、情景として切り取られていく諷刺小説でもある》(中日新聞 東京新聞・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/628323

 著者の馳さんは、1965年北海道生まれ。1996年、日本ミステリ界に衝撃を与えた『不夜城』でデビュー、吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞する。1998年に『鎮魂歌―不夜城II―』で日本推理作家協会賞を受賞。1999年に『漂流街』で大藪春彦賞を受賞する。主な作品に『ダーク・ムーン』『生誕祭』『長恨歌―不夜城 完結編―』『トーキョー・バビロン』『弥勒世』『エウスカディ』『淡雪記』『光あれ』などがある。

 芥川賞・直木賞はどちらも昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品が対象。主に新人作家に与えられる。直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短篇および長編の大衆文学作品を対象に優秀作を選定。主に新進・中堅作家が対象。

 第163回の候補作は以下のとおり。

■第163回芥川龍之介賞(文芸誌)
石原燃「赤い砂を蹴る」(文學界6月号)
岡本学「アウア・エイジ(Our Age)」(群像2月号)
高山羽根子「首里の馬」(新潮3月号)
遠野遥「破局」(文藝夏季号)
三木三奈「アキちゃん」(文學界5月号)

■第163回直木三十五賞(出版社)
伊吹有喜『雲を紡ぐ』(文藝春秋)
今村翔吾『じんかん』(講談社)
澤田瞳子『能楽ものがたり 稚児桜』(淡交社)
遠田潤子『銀花の蔵』(新潮社)
馳星周『少年と犬』(文藝春秋)

Book Bang編集部
2020年7月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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