第25回日本絵本賞が発表 田中光さん、お笑い芸人初の受賞で注目

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 第25回日本絵本賞が15日(水)に発表され、「サラリーマン山崎シゲル」の作者として知られるお笑いタレント・田中光さんの作品『ぱんつさん』が受賞し、芸人初の快挙ということもあり注目を集めた。

 日本絵本賞は、全国学校図書館協議会によって1年間に日本で出版された絵本の中から優れた作品に贈られ、今回田中さんは大賞に次ぐ絵本賞3作の1つに選ばれた。

 田中さんは、SNSに投稿した「サラリーマン山崎シゲル」が人気を呼び、漫画家としても注目されているお笑い芸人。絵本『ぱんつさん』は、たなかひかる名義で発表。主な著書に『ドクター中島の世界征服』『レタス2個分のステキ』『カラオケ流星群』などがある。

 なお、第25回日本絵本賞の受賞作は以下の通りとなった。

●日本絵本賞大賞
『くろいの』田中清代[作]偕成社

●日本絵本賞
『なまえのないねこ』竹下文子[文]町田尚子[絵]小峰書店
『金の鳥:ブルガリアのむかしばなし』八百板洋子[文]さかたきよこ[絵]BL出版
『ぱんつさん』たなかひかる[作]ポプラ社

 大賞を受賞した田中清代さんによる『くろいの』は、世界的な絵本イラストレーションのコンクール「ナミコンクール」(第4回)で日本人初となるパープルアイランド賞を受賞している銅版画による絵本作品。小さな女の子と不思議ないきものの“くろいの”との出会いや屋根裏の暗闇の中で経験した小さな冒険をあたたかく描く。

 著者の田中さんは、1972年神奈川県生まれ。多摩美術大学油画・版画専攻卒。在学中に絵本の制作を始め、1997年に『みずたまのチワワ』を出版して以来、絵本や挿絵を多数手がける。主な作品に『みつこととかげ』『トマトさん』『おきにいり』『おばけがこわいことこちゃん』『いってかえって星から星へ』『ねえ だっこして』『ひみつのカレーライス』『白鳥の湖』『気のいい火山弾』『小さいイーダちゃんの花』などがある。

 日本絵本賞を受賞した『なまえのないねこ』は、MOE絵本屋さん大賞1位、未来屋えほん大賞、リブロ絵本大賞、静岡書店大賞〈児童書新作部門〉2位などに選ばれ、高い評価を得ている作品。「黒ねこサンゴロウ」シリーズなど猫が主人公の作品を多く発表している竹下文子さんと、『ネコヅメのよる』など猫の絵が人気の画家・町田尚子さんによる猫愛に溢れた絵本だ。

 つづいて同賞を受賞した『金の鳥』は、王に命じられて金の鳥をさがす旅にでた三人の王子を描いた作品。2011年にブルガリア共和国文化省より文化功労賞を与えられた八百板洋子さんが、ブルガリアの昔話を再話し、鮮やかで、幻想的な作品に定評があるさかたきよこさんが絵つけた1冊となっている。

Book Bang編集部
2020年7月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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