『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』
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【聞きたい。】前田浩さん『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』
[文] 喜多由浩(産経新聞社 文化部編集委員)
■病気になりにくい体をつくれ
感染者増が続く新型コロナウイルス。ノーベル化学賞の候補にも挙げられる世界的権威が訴えるウイルス対策は感染しにくい体をつくることだという。
「ウイルスが体に侵入しても“白血球軍団”が元気に仕事すれば、細菌やウイルスを食い殺したり、ミサイル(活性酸素)を発射することによって感染は成立しません。ただその際に活性酸素の“流れ弾”で細胞や組織が傷つけられ、ウイルスや病原細菌の増殖と結びついて重症化し、命を奪うケースが多いのです」
さらには、「コロナと類似のインフルエンザウイルスでは高齢者に重症例が多い。大半はウイルスと細菌の複合感染で、抗菌剤投与は重要です」と話す。
いずれにしろ、免疫力をアップさせ、活性酸素をうまくコントロール(中和)させることができれば、重症化のリスクは低く抑えられる。著者は、その活性酸素のバーストを抑える物質が野菜の中にあるファイトケミカルだという。
「ファイトケミカルには活性酸素を中和させたり、免疫細胞を元気づける力があります。ただ人間はこれを自分では作れない。だから野菜、特に緑色の多いものを摂(と)るといい。温かいスープや鍋物にすると吸収されやすいのです」
これに加えて今できる対策は何か? 「うがい、(ゴミや埃(ほこり)を取り除く)へパフィルター付きの空気清浄機の使用、感染のリスクを高める補助因子にも警戒すべきです。例えば、空気が乾燥してイエダニの糞(ふん)が浮遊すればウイルス増殖の強力な引き金になります」
ただ、「PCR検査の陽性の結果だけを見て、重病と一緒くたに扱うのはいかがなものでしょうか。感染しても症状が出ない人が数多くおり、これは不顕性(ふけんせい)感染といわれ、1週間程度、自宅で安静にさせて自然に治せばいいのです」(幻冬舎・1200円+税)
喜多由浩
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【プロフィル】前田浩
まえだ・ひろし バイオダイナミックス研究所理事長。専門は細菌学、腫瘍学。昭和13年、兵庫県出身。東北大農卒、米カリフォルニア大デービス校大学院修了。米ハーバード大学ダナ・ファーバー癌(がん)研究所主任研究員など歴任。