ハリウッド揺るがした「セクハラ」スクープの舞台裏に『Black Box』著者の伊藤詩織さんが迫る

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 たった一つの記事が世界を変えることもある。2017年10月5日、ニューヨーク・タイムズは、ハリウッドの有名映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが「何十年ものあいだ性的嫌がらせの告発者に口止め料を払っていた」という記事を掲載した。この記事をきっかけに、全世界に#MeToo運動が広まることになる……。その一連の調査報道の軌跡と舞台裏を、取材にあたった記者が自ら明かした話題の一冊『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリスト』が、7月30日新潮社より刊行された。

 ワインスタインをご存じの方も多いだろうが、彼は『イングリッシュ・ペイシェント』や『恋におちたシェイクスピア』、『世界にひとつのプレイブック』などを手掛け、ハリウッドに絶対権力者として君臨した有名プロデューサーだった。
 本書は、有名女優や元従業員が、彼から苛烈な性的嫌がらせを受けながら、自分の未来を人質にされ、秘密保持契約と巨額の示談金で沈黙を強いられていた実態を、記者たちが炙り出し、記事にするまでの過程を克明に描いたノンフィクションだ。スパイを使ってまで取材を妨害しようとしたり、新聞社に乗り込んで記事を差し止めようとするワインスタインと記者らの攻防には思わず息を呑む。

 ハーパーズバザー(Harper’s BAZAAR)公式サイトでは、自身が受けた性的暴行を告発した『Black Box』著者でジャーナリストの伊藤詩織氏が、原著者のひとり、ジョディ・カンター氏へ行ったオンラインインタビューを公開している。
 伊藤氏の「取材の中で最も困難だったこと、そして学んだことはなんだったのか」という問いにカンター氏は「なぜ弱く罪のない人々ではなく権力があり間違いを犯す人に加担する人がいるのか、ということ」そして「ありふれた風景の中に多くの秘密が潜んでいること」と答えている。

 インタビューは、ふたりが抱える「被害女性たちにはどのように取材をすべきか」といった問題意識にも踏み込んだ内容となった。

 最後にカンター氏は、日本の読者へ「この本の取材中、裏ではかなり衝撃的な出来事がたくさん起きていました。『ニューヨーク・タイムズ』紙のオフィス、ハリウッド女優たちとの会話……本が完成して全てをやっとみなさまにお見せできる機会がやって来ました。みなさまに手に取っていただけたら光栄です」とコメントを寄せている。

伊藤氏のピュリッツァー賞を受賞した記者への刺激あふれるインタビューはこちら。
https://www.harpersbazaar.com/jp/lifestyle/womens-life/a33517720/disclosing-the-voice-200808-hbr/

2020年8月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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