『ぼくといっしょに』
- 著者
- シャルロット・デマトーン [著]/野坂悦子 [訳]
- 出版社
- ブロンズ新社
- ジャンル
- 芸術・生活/絵画・彫刻
- ISBN
- 9784893096746
- 発売日
- 2020/06/25
- 価格
- 1,540円(税込)
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【児童書】『ぼくといっしょに』シャルロット・デマトーン作、野坂悦子訳
[レビュアー] 正木利和(産経新聞編集委員)
■世界一大きな庭で
歩いていると、なぜかこわい顔のおじさんににらまれたり、川遊びをしていてすべっておぼれかけたりと、夢と現実が未分化な幼いころの体験が、いまも記憶のどこかにこびりついていたりすることがある。
そうしたかけらを集めてきたら、ひょっとするとわれわれ一人一人も、こうした絵本を作ることができるかもしれない。
町の一部を上空からながめた絵からはじまる。「せかいでいちばんおおきなにわのある」家に住む主人公の少年は、お母さんにリンゴを買ってくるようにおつかいをたのまれる。
ドラゴンやこわそうな大男、凶暴なクマの住む森を抜け、魚たちの住む海原を越え、海賊たちのすみかを駆け抜けやっとお店にたどりついた主人公。でも、実は森は家の植栽、海は池など、実際のところ庭にあるものばかり。そう、少年は遠回りになる外周をきらって庭を通り抜けただけ。
子供の想像力は突拍子のない冒険物語をつくる。幼いころのあなたがそうだったように。(ブロンズ新社・1400円+税)
正木利和