『荒木経惟、写真に生きる。』荒木経惟著
[レビュアー] 産経新聞社
今年傘寿を迎えた写真家、アラーキーこと荒木経惟(のぶよし)が、自らの写真と言葉で人生を振り返る。幼少期のこと、妻・陽子さんとの出会いと別れ、樹木希林や笠智衆(りゅう・ちしゅう)ら亡き名優の思い出などが、独特の軽妙な口調で語られる。
無名時代に応援してくれた恩師の桑原甲子雄、嫉妬の対象だったという森山大道、伝説の雑誌「写真時代」の末井昭編集長にまつわるエピソードも興味深い。
巻頭に「傘寿いとし」と題した撮り下ろしの31点を収録。エロスとタナトスが渦巻くアラーキーの世界は健在。「撮ることは、脈打つこと、呼吸すること」という。(青幻舎・3500円+税)