「若い日本人が自信を取り戻さなきゃ、日本はよくなっていかないよ」。日本から大学生らが訪ねてきたとき、台湾の李登輝元総統は、2時間以上も話し続けた。
すぐ隣にいた著者は鬼気迫るものを感じ、体が震えたという。
7月に97歳で亡くなった李氏の晩年、唯一の日本人秘書として8年間仕えた著者の耳に残る珠玉の言葉をつづったのが本書だ。浮かび上がるのは、李氏の「日本びいき」は、あくまで「台湾ファースト」の思考ゆえだったこと。
台湾の置かれた厳しい国際的立場を熟考しながら、現実主義に徹した李氏の声が聞こえてくる。(ビジネス社・1400円+税)
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2020年9月13日 掲載
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