『AVALANCHE~雪崩~』
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それ言っちゃうか 天然つうかアレなザ・手越ワールド
[レビュアー] 今井舞(コラムニスト)
「スーパーポジティブ」を自称する著者が、ジャニーズ退所のいきさつや、今後の抱負などを赤裸々に語り、話題になった本書。
ま、赤裸々というよりは、思ったことをただそのまんまブチまけているだけなのであるが。「歌唱力はジャニーズでもナンバーワンだという自信があります」「僕は頭の回転が速い」「今まで、一緒に仕事をしてきたスタッフから陰で悪い評価を言われたことがありません」。……それ、自分で言うか。
「新しい地図」の3人についても「もし自分だったら、仕事の状況やキャラクターも考え、事務所を辞めることをとどまっていたかもしれません」。こうした口吻を全て若気の至りで済まされがちな著者であるが。「金髪を黒く染めたくなくて、ドラマの仕事を断りました。代役は山本裕典さんです」って、そういうとこがさ。もう32歳なんだからさ。
柏木由紀との浴衣ツーショット写真は「友達です」。SKE48(当時)鬼頭桃菜との泥酔キス写真は「人数多いしSKE48の子だと知りませんでした」と、スキャンダルには這っても黒豆。退社に際しては「滝沢君と僕との間に確執なんて何一つありません」と書いた次頁に「18年お世話になったジャニーズ事務所を退所するにあたり、滝沢副社長へのご挨拶は残念ながらかないませんでしたが」。人はそれを確執と呼ぶのだが。
こうして「ポジティブ」の意味を“何でも自分に都合よく解釈していい魔法の言葉”と故意にはき違え、鋭意活用しまくりの著者。「スーパースターになるために、メッシ、ロナウド、そして僕のようなメンタルをぜひ」と腹の底から勧めてくる。確かにある意味すごいメンタル。
「あと5年で圧倒的影響力を得て、世界で成功を必ず収めたい」と、サンシャイン池崎っぽい大仰なスローガンを掲げながら、実際に計画しているのは「ファンとのトークセッション」「人生相談」「会員制のオンラインサロン開設」等々だそうで。「焼肉店をオープン」とも。遠いなー、世界。
しかし本人の脳内では辻褄は合っているのだ。壮大なるロード・トゥ・鶏口牛後が、今ここに始まろうとしている。誰か止めて。