【話題の本】『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか ブランド力を徹底検証!』

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■「ソーライス」歓迎の心意気

 「阪急」といえば、大阪梅田を中心に、宝塚、京都、神戸の3方面へ路線を広げる鉄道会社。同じグループには阪急百貨店や宝塚歌劇団などがあり、阪急ブランドは関西で「別格」に位置付けられているという。

 本書は、鉄道ライターの伊原薫氏が、阪急がいかにして信頼されるブランドを構築してきたのかを解説する一冊だ。未開の地に鉄道を敷き、沿線の住宅開発を進めた創業者・小林一三の思想や戦略をひもとくだけでなく、阪急のトリビアともいえるエピソードが興味深い。

 例えば、創業期の阪急百貨店の大食堂では、ライスだけを注文し、卓上ソースをかけて食べる「ソーライス」がはやったが、それを禁止せずに歓迎した小林の心意気に胸が温まる。タカラジェンヌが阪急電車に乗るときの「掟(おきて)」や、阪急電車の座席に天然素材が使われていることなど、感心の連続だ。

 8月中旬の発売後、大阪では品切れが続出。すぐに増刷し2刷1万部と好調だ。「関西の人々のプライドを刺激するようなタイトルも受けているのかもしれない」と編集担当者。「鉄道ファンだけでなく幅広い層に読んでほしい」と話している。(伊原薫著/交通新聞社新書・900円+税)

 篠原那美

産経新聞
2020年9月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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