文芸書に新しい波 バンドとコラボ、ボカロPによる小説、投稿サイト+楽曲化 小説×音楽に注目

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 2月21日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『半沢直樹 アルルカンと道化師』が獲得した。
 第2位は『気がつけば、終着駅』。第3位は『この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版』となった。

 1位の『半沢直樹 アルルカンと道化師』はテレビドラマも絶好調の「半沢直樹」シリーズ、6年ぶりとなる待望の新刊。半沢シリーズの原点にあたるような作品と話題。

 また今週は音楽と関係する小説作品が3作ランクインした。いずれもウェブと音楽で若者に訴求し、普段小説を手にとらない層にまで読者の幅を広げることに成功している。

 3位の『この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版』は小説家の住野よるさんとロックバンドTHE BACK HORNによる“共作”。楽曲を聴きながら小説を読むという体験を目指してはじまったコラボプロジェクトで、小説執筆と楽曲制作が平行して行われた珍しいケース。

 4位の『あの夏が飽和する。』はYouTubeやニコニコ動画に楽曲を投稿するボーカロイドプロデューサーのカンザキイオリさんのデビュー小説。同名の代表曲とリンクした内容となっている。発行元河出書房新社が運営するWeb河出では同作のスピンオフ連載が期間限定公開されている。

【期間限定公開】『あの夏が飽和する。』スピンオフ① ―告白―

8位の『夜に駆ける YOASOBI小説集』はコンポーザーのAyaseさん、ボーカルのikuraさんの二人による“小説を音楽にするユニット”YOASOBIの楽曲の元となった小説を収録した作品集。小説はいずれもソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する投稿サイトmonogatary.comに投稿された作品。

1位『半沢直樹 アルルカンと道化師』池井戸潤[著](講談社)

東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。(講談社ウェブサイトより)

2位『気がつけば、終着駅』佐藤愛子[著](中央公論新社)

96歳を迎えた佐藤愛子さん。『婦人公論』への登場も半世紀あまりにおよぶ。初登場の「クサンチッペ党宣言」「再婚自由化時代」から、最新の橋田壽賀子さんとの対談まで、エッセイ、インタビューを織り交ぜた、選りすぐりの一冊。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版』住野よる[著](新潮社)

退屈な日常に絶望する高校生のカヤの前に現れた、まばゆい光。それは爪と目しか見えない異世界の少女との出会いだった。真夜中の邂逅を重ねるうち、互いの世界に不思議なシンクロがあることに気づき、二人は実験を始める――。小説×音楽の境界を超える、新感覚コラボ! THE BACK HORNのCD(全5曲収録)&DLカード付。(新潮社ウェブサイトより)

4位『あの夏が飽和する。』カンザキイオリ[著](河出書房新社)

5位『少年と犬』馳星周[著](文藝春秋)

6位『とんでもスキルで異世界放浪メシ(9)』江口連[著]雅[イラスト](オーバーラップ)

7位『一人称単数』村上春樹[著](文藝春秋)

8位『夜に駆ける YOASOBI小説集』星野舞夜、いしき蒼太、しなの、水上下波[著](双葉社)

9位『日本製+Documentary PHOTO BOOK 2019-2020』三浦春馬[著](ワニブックス)

10位『戦国小町苦労譚 十三、第二次東国征伐』夾竹桃[著]平沢下戸[イラスト](アース・スターエンターテイメント)

〈文芸書ランキング 9月23日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2020年9月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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