【産経の本】『世界の戦争映画100年 1920-2020』瀬戸川宗太著

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■記憶に残る700本、縦横に語る

 映画館で観(み)ていなくても、子供時代にテレビで放映された「戦争映画」に引き込まれた経験を持っている人は多いだろう。

 本書は、少年時代から「戦争映画」を見続けてきた映画評論家が、100年前の作品から今年公開の最新作まで、記憶に残る700本を縦横に語りつくした一冊だ。

 「アクション映画」の章は大作『ナバロンの要塞』に始まり、群像劇『大脱走』が今も色あせない理由、さらに各国スター70人を登場させ、通常の映画数本分のドラマをとりこんだ群像劇『史上最大の作戦』の完成度の秘密-と話は広がってゆく。「戦意高揚映画」の章では、今では恋愛映画のイメージが強い『カサブランカ』や、『チャップリンの独裁者』など戦時中の映画の意味を考えさせる。

 他にも、主に欧州を舞台にした「レジスタンス映画」、日本独特の「反戦映画」、冷戦下の「核戦争映画」、戦争映画の転換点となった「ヴェトナム戦争映画」など、著者の目を通してつづられる有名・無名の作品群はいずれも魅力的だ。現代教養文庫『戦争映画館』を増補・改訂、改題。本書を手に戦争映画三昧はいかが。(光人社NF文庫・880円+税)

産経新聞
2020年9月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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