作家・柳美里さんの小説『JR上野駅公園口』が、米国で最も権威ある「全米図書賞」の翻訳文学部門の最終候補5作品に入った。
英訳版のタイトルは「Tokyo Ueno Station(JR上野駅公園口)」。ホームレスとして生活する福島出身の男性を描いた物語。家族を養うため上京した男性の生涯を通じて、死者への祈りや日本社会の光と闇を描く。
柳さんは、1968年神奈川県生れ。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」を経て、1988年に演劇集団「青春五月党」を結成。1993年に最年少で岸田國士戯曲賞を受賞後、1994年に『石に泳ぐ魚』を文芸誌「新潮」に発表し、小説家としてデビューする。1997年には『家族シネマ』で第116回芥川賞を受賞している。その他著書に『フルハウス』『ゴールドラッシュ』『命』(4部作)『8月の果て』『雨と夢のあとに』などがある。
「全米図書賞(National Book Awards)」は、米国で最も権威のある文学賞の一つ。1950年3月15日に、複数の出版社グループによって創設され、現在は全米図書協会によって運営されている。小説・ノンフィクション・詩・翻訳文学・児童文学の5部門があり、受賞者には副賞が贈られる。同じ翻訳文学部門では、2018年にドイツ在住の作家・多和田葉子さんの「献灯使」が受賞している。
関連ニュース
-
父親と同世代の男と同棲する16歳の少女を主人公にした新たなゲーム文学 遠野遥『浮遊』試し読み
[試し読み](日本の小説・詩集)
2023/02/21 -
柴崎友香原作による映画「寝ても覚めても」公開決定 書き下ろし短篇入り増補新版が発売
[映像化/リリース](日本の小説・詩集)
2018/05/24 -
本屋大賞受賞作『52ヘルツのクジラたち』 謎が解けて浮き彫りになる「あまりにも悲痛な愛の形」
[ニュース](日本の小説・詩集)
2021/04/24 -
芥川賞・直木賞の候補作が発表 太宰治の孫にあたる石原燃に注目集まる
[文学賞・賞](日本の小説・詩集/歴史・時代小説)
2020/06/17 -
中村倫也 初エッセイ集がベストセラー 自意識過剰でモテたくて仕方なかった学生時代を振り返る
[ニュース](日本の小説・詩集/タレント本/エッセー・随筆)
2021/03/27