第56回谷崎潤一郎賞が決定 磯崎憲一郎『日本蒙昧前史』が受賞

文学賞・賞

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 第56回谷崎潤一郎賞が19日に発表され、磯崎憲一郎さんの『日本蒙昧前史』(文藝春秋)に決まった。

 受賞作『日本蒙昧前史』は、大阪万博、三島由紀夫の自決、五つ子ちゃん誕生、ロッキード事件、グリコ・森永事件、密林に28年身を潜めていた元日本兵など、マスコミを連日賑わせた出来事を題材にした小説。

 作家の畠山丑雄さんは、本作について「五つ子の父親が実生活上で突き当たる些末で死活的な問題や、万博の用地買収における行政上の滑稽なまでの難航ぶりや、日本兵が取り残された島の充実した孤独の中で身につけていく生の技術など、圧倒的に緻密で、ときに煩瑣に思えるほどのディテールがそのままドラマとなる。細部の充実により、人間の生に細部などないという当たり前の事実が改めて新鮮な驚きを伴って迫ってくる」(文藝・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/631101

 著者の磯崎さんは、1965年千葉県生まれ。早稲田大学商学部卒業。2007年に『肝心の子供』で文藝賞を受賞しデビュー。2009年に『終の住処』で第141回芥川賞を受賞。そのほか、2011年に『赤の他人の瓜二つ』で東急文化村ドゥマゴ文学賞、2013年に『往古来今』で泉鏡花賞を受賞している。その他の著作に『眼と太陽』『世紀の発見』『電車道』『鳥獣戯画』『アトリエ会議』(横尾忠則、保坂和志との共著)等がある。

 受賞作の選評は、10月9日発売の「中央公論」(11月号)に掲載される予定。なお、贈賞式は10月14日で、東京都内で関係者のみで行われる。

「谷崎潤一郎賞」は、中央公論新社が創業80周年を記念して1965年に創設した文学賞。明治・大正・昭和を通じて、幅広いジャンルで活躍した谷崎の業績にちなみ、時代を代表する優れた小説・戯曲に与えられる。第56回の選考委員は、池澤夏樹、川上弘美、桐野夏生、筒井康隆、堀江敏幸の5氏が審査を務めた。

Book Bang編集部
2020年8月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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