【話題の本】『戦国の忍び』平山優著(角川新書・900円+税)

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 ■知られざる「夜の歴史」に挑む

 古くは講談本『猿飛佐助』、最近ではサブカルチャー界隈(かいわい)で話題のサイバーパンク活劇小説『ニンジャスレイヤー』など、フィクションの題材として絶大な人気を誇る忍者。大衆的関心とは裏腹に、歴史学では長らく白眼視されてきたが、近年実証的研究が活発化してきた。

 武田・真田氏研究の第一人者として知られる中世史家が、忍者の最盛期である戦国時代の史料を博捜し、実態に迫ったのが本書。版元によると、9月上旬に初版8000部でスタートし、すぐに増刷がかかって現在1万部と好調だ。

 戦国期に台頭した忍者は、ただ戦争に勝つという目的だけのために大名らに雇われた非正規雇用の人々で、敵地での諜報活動のほか、放火や待ち伏せ襲撃といったゲリラ活動など多様な任務を命じられた。合戦では夜討ちの主導や夜営時の警戒役を務めるなど、戦場の夜の主役と呼べる重要な存在で、損耗率も高かった。その主な構成員は乱世で身を持ち崩して略奪や殺人に手を染めたアウトローたちで、やがて平和の世が訪れると厄介者と化していく。

 これまで書かれることのなかった、夜の戦国史に踏み込んだ意欲作だ。

 磨井慎吾

産経新聞
2020年10月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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