【話題の本】『銀閣の人』銀閣の人 門井慶喜著(KADOKAWA・1800円+税) 「最低の将軍」の苦悩と孤独

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 室町時代に開花し、わびや枯淡美を基調とした東山文化は、日本文化の源流とされる。本作は、東山文化に代表される銀閣を造営した室町幕府8代将軍・足利義政が主人公の歴史小説だ。

 祖父・義満が手がけた金閣寺に代表されるきらびやかな装飾的価値観の対極にあるわび・さびの美的感覚を広めた義政を描き、美術や日本文化に関心を持つ読者にも好評。9月の発売以来、部数を重ねている。

 応仁の乱に積極策をとらず、「最低の将軍」などと悪評が目立つ義政だが、直木賞作家の著者は「文化プロジェクトのプロデューサーとしてとらえてみたら面白い」とのアイデアから執筆したとKADOKAWA文芸単行本編集一課の小林順編集長は話す。

 銀閣寺造営は、連歌師や庭師、茶人といった当代一流の才能を結集して取り組まれた。境内の国宝東求堂(とうぐどう)にある四畳半の間「同仁斎(どうじんさい)」は、和室の原点とされ、500年を経た現代にも受け継がれている。

 偉大な祖父への反発、権力を握る妻・日野富子への愛憎…。家庭での義政にもスポットを当て、苦悩と孤独を描いた。義政の評価も変わる快作だ。(中島高幸)

産経新聞
2020年11月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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