第48回泉鏡花文学賞が発表 髙樹のぶ子『小説伊勢物語 業平』が受賞

文学賞・賞

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 第48回泉鏡花文学賞が14日に発表され、髙樹のぶ子さんの『小説伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版)に決まった。

 受賞作『小説伊勢物語 業平』は、美麗な容貌と色好みで知られる在原業平の一代記を描いた作品。現代語訳ではなく小説に紡ぐことで、日本の美の源流を浮かび上がらせた。また、本作を解説した『伊勢物語 在原業平 恋と誠』が日本経済新聞出版から刊行されている。

 著者の髙樹のぶ子さんは、1946年山口県生まれ。東京女子大学短大卒。1980年に「その細き道」で作家デビュー。1984年に「光抱く友よ」で芥川賞を受賞する。以後、1995に年『水脈』で女流文学賞、1999年に『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年に『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、2010年に「トモスイ」で川端康成文学賞をそれぞれ受賞。2009年には紫綬褒章を受章するほか、2017年に日本芸術院賞、2018年に文化功労者に選ばれている。

 授賞式は11月21日に金沢市文化ホールで行われる。

「泉鏡花文学賞」は、泉鏡花生誕100年を記念して1973年に制定された、金沢市によって主催される文学賞。前1年間に刊行された文芸作品を対象に、泉鏡花の文学世界に通ずるロマンの薫り高い作品に与えられる。第48回の選考委員は、五木寛之、村松友視、金井美恵子、嵐山光三郎、山田詠美、綿矢りさの6氏が審査を務めた。

 昨年は、田中慎弥さんの『ひよこ太陽』(新潮社)が受賞。過去には半村良さんの『産霊山秘録』(第1回)、筒井康隆さんの『虚人たち』(第9回)、多和田葉子さんの『ヒナギクのお茶の場合』(第28回)、桐野夏生さんの『グロテスク』(第31回)などが受賞している。

Book Bang編集部
2020年10月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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