第50回星雲賞が決定 飛浩隆さん『零號琴』などが受賞

文学賞・賞

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 日本SFファングループ連合会議が、優れたSF作品を投票で選ぶ「第50回星雲賞」の受賞作を発表した。

 星雲賞は、1970年に創設された日本で最も古いSF賞。前年に発表もしくは完結したSF作品およびSF活動を対象に、日本SF大会参加者の投票によって選ばれる。「日本長編部門」「日本短編部門」「海外長編部門」「海外短編部門」「メディア部門」「コミック部門」「アート部門」「ノンフィクション部門」及び「自由部門」の9つの部門が設けられている。

 日本長編部門に選ばれたのは、飛浩隆さんの『零號琴(れいごうきん)』(早川書房)。惑星〈美縟(びじょく)〉の首都“磐記(ばんき)”全体に配置された古の巨大楽器“美玉鐘”の500年ぶりの再建を記念し、全住民参加の假面劇の開演が目前に迫る。本作はそこで演奏される秘曲〈零號琴〉を巡るSF作品。

 評論家の大森望さんは、《少なくとも、今年のSFナンバーワンはこれで決まり》と絶賛。「古今東西のSFの遺産のみならず、プリキュア、ゴレンジャー、まどマギ、巨神兵、ウルトラマンなどなど現代日本のポップカルチャーのイコンが大胆不敵にとりこまれ、超絶技巧で料理されて、クライマックスでは、それらすべてを混ぜ込んだ一大仮面劇から、SFでしか描けない、とてつもなく美しい光景が立ち現れる」(週刊新潮・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/561080

 飛浩隆さんは、1960年島根県生まれ。島根大学卒。1981年に短篇「ポリフォニック・イリュージョン」で第1回三省堂SFストーリーコンテストに入選、「SFマガジン」に掲載され、デビュー。1983年から1992年まで同誌に短篇10篇を発表。10年の沈黙ののち、2002年に長篇『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』を発表、脚光を浴びる。2005年に短篇集『象られた力』で第26回日本SF大賞を受賞。2007年に短篇集『ラギッド・ガール 廃園の天使II』で第6回センス・オブ・ジェンダー賞を受賞。2018年に短篇集『自生の夢』で第38回日本SF大賞を受賞している。

 そのほか、海外長編部門にピーター・トライアスさんの『メカ・サムライ・エンパイア』、メディア部門にアニメ「SSSS.GRIDMAN」、コミック部門に『少女終末旅行』が選ばれた。

 第50回星雲賞の受賞作は以下の通り。

日本長編部門:『零號琴』飛浩隆[著]早川書房
日本短編部門:「暗黒声優」草野原々[著]早川書房
海外長編部門:『メカ・サムライ・エンパイア』ピーター・トライアス[著]早川書房
海外短編部門:「円」劉慈欣[著]早川書房
メディア部門:「SSSS.GRIDMAN」(監督・雨宮哲)
コミック部門:『少女終末旅行』つくみず[著]新潮社
アート部門:加藤直之
ノンフィクション部門:『筒井康隆、自作を語る』筒井康隆[著]日下三蔵[編集]早川書房
自由部門:『MINERVA-Ⅱ1のリュウグウ着地及び小惑星移動探査』「はやぶさ2」プロジェクト

Book Bang編集部
2019年7月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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